幼稚園児の頃母親に見せてもらったプリンセスの映画にひどく憧れを抱いた。
そのたくさんの映画の中で、"白雪姫"に1番憧れた。
毒林檎を食べてしまった白雪姫に王子様がキスをする。
キスをすると白雪姫は目を覚まし、最後には王子様と結ばれる。
私もこうなりたい!!と強く願って、
運動をしたり、スキンケアをしたりした。
勿論、日焼け止めも1時間ごとにムラなく塗った。
それを幼少期から今の高校1年生まで続けた結果、
私は"白雪姫"と呼ばれるようになった。
*
高校一年生になって、園花高等学校に入学した私は
周りから一目置かれる存在になっていた。
もちろん、今までの努力のお陰。
私はこの学校の"白雪姫"でいなければならない。
この先もずっと。
だから、アイツは気に入らない。
"白萩 雪希"_。
きっと、何も努力なんてせずに勝ち上がってきた人。
セミロングの黒髪に白い肌。
血色のいい唇に薄く色づく頬。
この学校のもう1人の"白雪姫"。
白雪姫はひとりじゃないとダメなのに。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。