その日の帰り、職員室に寄ってみた
先生は微笑みながら歩み寄ってきた
なぜだか嬉しそうな先生
なんでまた先生と関わらなきゃいけないんだろう
もう終わったって思ったのに
あの日先生は私じゃなくて
島浦さんを信じた
だから私は先生のこと信じてない
助けてあげるって
守ってあげるって
あれは全て嘘だったんだって。
先生は断り続けてもついてきて
家の中に入ってきた
おばあちゃんもこんなに笑ってるの久しぶりに見たし
今日だけなら家にあげてもいいかな
先生はノートやプリントを出して準備を始めた
みんなも私と同じように家庭教師やってると思ってた
信じた私が馬鹿だった
まぁ私が勝手に思っちゃってるんだけど、
先生は英語のプリントを差し出してきた
丸つけしてある英語のプリント
先生はいったい何を考えてるんだろう
英語のプリントを手に取ってみれば
満点で間違ってるとこなんてなかった
先生に見せる顔なんてない
私は平和な時間をすごしたい
誰にも何も言われず
影薄くなって
みんなの視界に入らず息を潜めて
先生はいつもと変わらず
素敵な笑顔を見せてきた
その顔を見ると
私の頬が熱いです
何故でしょうか
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!