プリ小説

第6話

要するに、
ありがとうございましたー。




やる気のない従業員の声が耳へと入ってくるのと同時に、




私たちは開いた自動ドアを通りぬけ、



また冷え切った外へと出る。






というか山田のヤツほんとに



コンビニでケーキ買っちゃったよ。







クリスマスなのにコンビニケーキを




幼馴染と食べる羽目になるなんて。






本当なんていうクリスマスなんだろう今日は。





そんな複雑な私の心境なんて何も知らず鼻歌交じりで、





私の隣を歩く山田を見つめてぽつりと一言。





『こんなんどこでも普通に売ってそうじゃん』




「お前ほんとわかってないな」






そう言ってガサゴソと先ほど買ったばかりの




ケーキを袋から取り出し私に見せる山田。




ああもう、こんな所で袋から出して落としたらどうすんの。





なんて私の心配なんか知らずに



山田はケーキをぐいっと私に見せつけながらこう言ったのだ。





「こういうのはどこで買うとかじゃなくて、いつどこで誰と食うかが問題なんだよ」



『は、はあ?』



「たとえば高級フレンチを一人で寂しく食ってたって楽しくなんかないだろ?」



『そ、そうかな』




「そうなの」




いったい山田が私に何を言いたいのか分からず



しかめっ面で奴の話に耳を傾けていると、




ああ、もうお前ってほんとに馬鹿。



なんて自分の髪をぐしゃっとしながら山田は言う。




「いいか、よく聞けよ」


『な、なに急にかしこまって』


「俺、本当は今日お前があそこでチラシ配ってるって知ってた」


『え』



「本当は知ってたくせに何も知らない振りしてお前に近づいたんだよ」




なるほど、そう言う事か。


奴の言葉に一人うんうんと納得しつつ、



バツが悪そうにする山田の顔を




ジッと見つめて私はこう口を開いたのである。




『なに、あんたそんなに私のサンタコス見たかったの』

「ち が う」

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ぷうちゃん
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好きなものをお話しに。 楽しいと思ってもらえたらなによりです。