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第2話

可愛くないわたし
『笑うな馬鹿!』




この寒さのせいなのか、それとも未だ私の格好を見て



げらげら笑うこの馬鹿に対しての苛立ちなのかは分からないが



私はぶるぶる震えた体で山田にそう言ってやる。




ああ、もう本当最悪だよ今日。




「お前が前に言ってたバイトってコレの事だったんだな」




人通りの多い通路から少し離れたところで山田にそう言われる。




もちろん奴の表情は半笑いである。





『なに、なんか文句あるわけ』





暖かそうなコートにマフラーを身につけている山田を睨みつけるように反論した。




なによ、私がクリスマスにサンタコスしてチラシ配って何が悪いわけ。



別にそれが私の仕事なんだからいいじゃないか。




「にしてもその格好はなぁ」




私の格好を下から上へと見つめては苦笑い。



なんなのこの人さっきから。



私に喧嘩売ってんのかってね。




『うるさいな。あんたもタダで私の可愛いサンタ姿見れたんだから感謝しなよね』


「え、なに言ってんのお前」


『うっさいバーカバーカ!いい?この格好の事他の人に言っちゃダメだかんね』



恥ずかしいんだから。



そう最後にポツリと呟いた言葉が聞こえていたのか「やっぱお前恥ずかしがってんじゃん」と言い返されたのは聞こえなかった振りをしておこう。




『じゃあ、私そろそろ仕事戻んないと店長に怒られるからさ』




なんて手をひらひら振りながら山田の前を通り過ぎようとしたときだった、




突然首元に暖かい物が巻かれたと思ったら、



すっと山田がいつもつけている香水の香りが鼻をかすめる様に入ってくる。




何事かと思って視線を山田に向けると、




「仕方ねーから俺のこのお高いマフラーをお前に貸してやろう」




今回だけは特別だぞ。



そう言って私の首元にぐるぐるとマフラーを巻きつけてくるではないか。




『え、いらないよ!』


「なんだよその可愛くねー言い方。俺が貸してやるって言ってんだからありがたく使っとけ」


『なに、急に優しくなっちゃて気持ち悪い』




自分がここでありがとうと言える女子ならどれだけ良かっただろうか。




なにぶんこういう類の事に慣れていない私はこういう可愛くない反応しかできないのである。




本当自分のこういうところは大嫌い。




「お前も一応女だし体冷やすのもよくないしな」



それに笑っちゃったお詫びだから気にすんな。



そんな私の気持ちを知ってか知らずかそう言って


私にマフラーを貸してくれた山田に心の中で感謝した。

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ぷうちゃん
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