プリ小説

第8話

そんな顔で見るな
「なんつう顔してんだよお前」



下を向いたまま動かなくなった私の顔を覗き込むようにそう言う山田。




なんつう顔って誰のせいでこうなってるのか



分かってて言ってるんだろうかこの男は。





「ほんと色気もない顔しやがって」




なんて目尻を下げながらくしゃりと笑う。




言ってる言葉は角がある筈なのに、




山田の今の顔を見たら全く悪意を感じられないから不思議だ。




ああもう、なんなのその表情。




あんたは一体私をどうしたいって言うの。





「ぶっ。お前顔真っ赤」




むにゅ。


そんな音がしそうな勢いで


私の頬を両手で包み込む山田の大きな手。



私はそんな山田の手をぺしっと軽く払いのけぶっきらぼうにこう応える。




『誰のせいだと思ってんの』

「そんなの俺のせいだろ」





いや、うん。確かにそうだけれども。



しかしこの男は何でこんなにも簡単に言い切れるのだろう。




さすが山田だわ。



なんてどうでもいい事を思ってみたり。





そんな現実逃避にも似た思考回路の中、




ふと意識をこちらに戻したのは他でもない山田の声で。





「だって俺にこうされて顔が赤いって事は意識してるって事だろ?」




なああなた、いい加減俺ら幼馴染から卒業しね?




そう言って話すヤツの顔は昔から知ってるおふざけ全開の山田じゃなくて



まるで今まで見たことないような男の顔をしていた。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

ぷうちゃん
ぷうちゃん
好きなものをお話しに。 楽しいと思ってもらえたらなによりです。