『Slave To The Rhythm』に出てくるのは、
旦那に奴隷のように扱われていた女性。
昼間はフルタイムで働く会社員。
"家で子供が待っているから帰らなくてはいけない"
と言っても残業を強要する、理解のない会社。
家に帰ると夕飯の支度。
夜9時に出すのが決まりで、
遅れると彼女は怒られる。
自分の時間なんてほとんど無い、とても悲しい毎日だろう。
でも彼女は必死にその"リズム"に食らいついた。
必死に踊った。
ある日、彼女はもう"踊らない"と宣言した。
が、旦那の態度は変わらない。
彼女はやっと逃げ出した。
そして夜通し"踊った"。
それは誰かが作った"リズム"ではなく、
彼女の中から溢れ出すような"リズム"。
彼女はやっと、自分のリズムで踊ることが出来るようになった。
男3人はため息をついた。
リョウの口調は、まるで『保育園の遠足どうだった?』と聞く母親のよう。
ナホはまだピンと来ていないようで、
困った顔でトウヤを見た。
ナホは顔を真っ赤にして壁にもたれている。
トウヤは口も目も大きく開けてナホ見た。
ナホはその視線をブロックするように、隅っこに小さく丸まって俯いていた。
ヤイヤイ言い合っているふたりを尻目に、
小さくなっているナホにリョウが近づいて話しかけた。
「おバカさんは黙ってたら?」
と言ってくるアキを一瞥して、話を続ける。
ナホは考え込むような顔で黙ってしまった。
すると、ナホは少し遠慮がちに、だけど少し強く質問した。
3人は少しだけ考えたあと、
すぐに笑ってナホを見た。
リョウがそう言って笑う。
トウヤとアキは、少し真剣にそう言った。
ナホは深く頭を下げた。
彼女の目は少しだけ潤んで、肩も震えていた。
そして彼女は、とらわれた"リズム"から逃れるための第1歩をやっと踏み出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。