・・・どうして。
『ねぇ・・・レオくん。』
「なんだ?」
『傍に、いて・・・』
どうして、気づけなかったんだろう。
傷跡の残る背中は、もうピクリとも動かず、
おれに縋るようにしがみついた腕は力を失い、
閉ざされた瞼は、もう上がることはない。
「・・・ごめんな」
気付けてやれなくて。
ずっと、1人にして。
助けてやれなくて。
おれ・・・騎士なのに。
お前の・・・姫の、Knightなのに。
騎士失格だなぁ・・・おれ。
姫を守れなかったよ。
今更謝っても、めいいっぱい抱きしめても、
何もかもがもう遅い。
姫を失った騎士は、どうなるんだ?
もうお役御免か?
どうでもいい。
姫を守れなかった、それだけでおれの胸はぎりぎりと締め付けられるようだから。
せめて、レクイエムを送るから。
おれの音楽が、お前を忘れないように。
ばいばい、姫。
おれの音楽の、魂の、精一杯を送るよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。