第10話

姫を亡くした騎士は【月永レオ】
1,941
2020/09/17 09:23

・・・どうして。

『ねぇ・・・レオくん。』

「なんだ?」



『傍に、いて・・・』


どうして、気づけなかったんだろう。


傷跡の残る背中は、もうピクリとも動かず、

おれに縋るようにしがみついた腕は力を失い、



閉ざされた瞼は、もう上がることはない。


「・・・ごめんな」


気付けてやれなくて。
ずっと、1人にして。
助けてやれなくて。


おれ・・・騎士なのに。
お前の・・・姫の、Knightなのに。


騎士失格だなぁ・・・おれ。


姫を守れなかったよ。


今更謝っても、めいいっぱい抱きしめても、
何もかもがもう遅い。



姫を失った騎士は、どうなるんだ?
もうお役御免か?


どうでもいい。


姫を守れなかった、それだけでおれの胸はぎりぎりと締め付けられるようだから。



せめて、レクイエムを送るから。



おれの音楽が、お前を忘れないように。





ばいばい、姫。

おれの音楽の、魂の、精一杯を送るよ。

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