「ふあぁ、ふ・・・あれ、姫様。来たんだねぇ?良かったよ。もうすぐ寝ちゃうところだった」
欠伸をしながら騎士が振り返る。
「・・・なんてね。流石にお仕事だし。寝ないよ」
外に出ない仕事で良かった〜、なんて言いながら騎士は立ち上がって姫に手を差し伸べる。
「じゃ、俺は靴選んであげようかな・・・♪」
騎士は靴箱の前で顎に手をやる。
「今日のパーティーは立ってる時間が多そうなんだっけ?」
ふと思い出したように姫に問う。
「そっか。じゃあ、ヒールは低い方がいいよねぇ・・・?」
そう呟きながら、騎士はブーツを取り出す。
「ふっふっふ・・・♪いいでしょ。モコモコであったかいよ」
いたずらっ子のようにそう笑うと、姫を座らせ、靴を履かせる。
「姫様の足、綺麗だね・・・噛みついちゃいたいくらい・・・♪」
騎士はそう言って歯をキラリと覗かせて妖しく笑う。
「そんな不安そうな顔しないでよ。実際にやったりしないってば。でも、俺以外にこんなこと言ってくるやつがいたら気をつけるんだよ?」
騎士は姫の頭を優しく撫でると、急に真剣な顔つきになって注意を促す。
「じゃあ、行ってらっしゃい。俺は外まではついていけないけど、楽しんでおいで・・・♪」
騎士は、もう一度欠伸を漏らしてそう言った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。