「・・・お姉さま」
未だ未熟な騎士の、懺悔をどうかお許しください。
私はお姉さまを守ることができませんでした。
私がついた時にはもう・・・遅かったのです。
それはただ、私が未熟であったのです。
こうして今私がぐずぐずしていることは、良くないことなのでしょう。
それでも。
まだ、伝えたいことが沢山ありました。
まだ、共に過ごしたい時がありました。
まだ、お別れをしたくないのです。
立派な騎士様方に囲まれて、
日々懸命に励んできたこの朱桜司は。
あなたが、お姉さまが。姫がいたからこそ、
この朱桜司は今日も立っていられるのです。
さようなら、なんて言いたくありません。
まだ、なくしたくないのです。
それでも、そろそろ私も覚悟を決めなくてはいけないと分かっているのです。
この朱桜司。
騎士として、朱桜家の1人として。
Knightsの、王を継ぐものとして。
別れの代わりに、あなたに誓いを捧げます。
必ず、強くなってみせますから。
今日という日を糧に、成長してみせますから。
ですから、お願いです。
私を、この朱桜司を。
どうかずっと、見守っていてください。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。