第16話

姫を亡くした騎士は【朱桜司】
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2020/09/22 10:14

「・・・お姉さま」


未だ未熟な騎士の、懺悔をどうかお許しください。


私はお姉さまを守ることができませんでした。

私がついた時にはもう・・・遅かったのです。


それはただ、私が未熟であったのです。



こうして今私がぐずぐずしていることは、良くないことなのでしょう。


それでも。



まだ、伝えたいことが沢山ありました。

まだ、共に過ごしたい時がありました。



まだ、お別れをしたくないのです。




立派な騎士様方に囲まれて、
日々懸命に励んできたこの朱桜司は。


あなたが、お姉さまが。姫がいたからこそ、
この朱桜司は今日も立っていられるのです。



さようなら、なんて言いたくありません。

まだ、なくしたくないのです。



それでも、そろそろ私も覚悟を決めなくてはいけないと分かっているのです。

この朱桜司。
騎士として、朱桜家の1人として。


Knightsの、王を継ぐものとして。



別れの代わりに、あなたに誓いを捧げます。

必ず、強くなってみせますから。
今日という日を糧に、成長してみせますから。


ですから、お願いです。


私を、この朱桜司を。
どうかずっと、見守っていてください。

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