あなた「さて……オマ、エを…祓う」
俺はまるでなにかを祈っているかのように、両手を絡めて胸の前まで移動させた。
痛い、痛いけど、やれば祓える。
そんな思いで絡めていた指を離して手を合わせた。それをまるで獲物を確定させるかのように、そのまま前に居る呪霊に突き出した。
『領域展開・精霊世界、怒り』
その瞬間に俺と呪霊は燃え盛るような赤・領域内に入った。
俺は怒ってんだよ。
今まで身を潜めて最後の最後に出てくる呪霊に。それにすぐ気づけなかった俺に。虎杖君に辛い言葉を浴びせざる逐えなくなった状況に。その状況を作らせてしまった俺に。怪我を負って虎杖君をシッカリ護れなかった俺に。足手纏いになった、俺に。
あなた「怒ってんだよ!」
『火の精霊』
赤い光で動きを封じられて、そこから焼けるように爛れている呪霊。そこに俺はさらに致命傷を負わせ、祓った。そして、領域を解除して元の世界に戻った。
虎杖「あなた先輩!」
五条「─あなた!」
ピンク色と白色と黒色を視界に入れたのを最後に、俺の意識は途切れた。
はい、作者です。
ちょっと前回の話を編集しました。
2021,3,25 編集
よろしくお願いします!
ってことで、また次回!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!