残業も悪くない -樹side-
定時で仕事を終わらすと
同期のきょもが声をかけてきた
野郎2人かよ…
女の子がいれば良いけどなぁー
チラッと目線を彼女にやる
同じ部署の後輩のあなたちゃん
自分で言うのも何だが
結構モテるの俺、
ほかの女子社員は
あざとく誘ってくるけど
あなたちゃんは違った
初めは嫌われてるんじゃないかと
勘違いしたくらい
ただ、彼女はひたすら真面目に
仕事に取り組む
素直に感情表現をしてくる
そんなあなたちゃんに惹かれるのに
そんなに時間はかからなかった
あなたちゃんが来てくれれば…
そんな淡い期待をして見てみるが
「あなたさん、これよろしく。」
なんて部長に言われて、大量の
書類を押し付けられている
こんな時間にまぢかよ…
一瞬立ち止まって、苦笑いしながら
部長から書類を受け取る彼女を目で追う
そうきょもに急かされて
ちょっと後ろ髪を引かれながら
会社を出た
…
…やっぱり気になる
あの量1人じゃ終わるの何時になるんだよ
それに、今行けばあなたちゃんと2人きり…
ほんの少し、そんな下心もちらつき
目の前で
店探しをしているきょもに声をかける
後ろできょもが何か叫んでいるけど
小走りで会社へ戻る
途中、差し入れに2人分のコーヒーを
買ってオフィスに入っていく
そこには、案の定大量の書類を目の前に
一生懸命PCに向き合っている
あなたちゃんの姿があった
俺が入ってきたことに全く気づいていないらしく、
そんな女の子らしくない悪態が聞こえてくる
思わずクスッと笑えてきて
そう言って、彼女の前にコーヒーを置く
隣にあった椅子に座って、
距離を詰め、書類の1つを手に取って
自分の分のコーヒーを啜る
そう至近距離で彼女を見つめれば
明らかに挙動が変わって
不自然に目が逸らされた
…これは期待できるか?
女の扱いには慣れているつもりだが
あなたちゃんの前だと、一気に
不安になる
いつものように、ガンガン攻めれば
嫌われるんじゃないか…
自分でも不思議なくらい臆病になる
こんなに、1人の女性を真剣に
想うようになるなんて、思ってもみなかった
今だって、理不尽に押し付けられた
仕事を、しょうがないと
ひたむきに取り組んでる
そんなあなたちゃんの真っ直ぐな
姿を見ていると、何か守りたくなってくるんだ
だから、ここで引き下がっては男じゃねぇ
手伝うと言えば、あなたちゃんは
必死で止めてきたけど、
これは、俺のエゴでもある
だって、こうやって2人きりの時間を
共有できる
そして…
そう、あなたちゃんの耳元で
囁けば
ほら、やっぱり悪くない反応
これは期待してもいいんだよな?
こんな残業だったら、悪くないな…//
。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚
樹side完成ですー!
ノリと勢いで書いたので
キャラも定まっておらず
申し訳ないです…
臆病で強気な樹さんを
表現したかったのですが(´;ω;`)
ありがたいことに
リクエストも頂けたので
頑張って書きます!
他にもリクエスト、募集しております!
今日も読んでいただいて
ありがとうございましたー!m(*_ _)m
*+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。