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第8話

嘘だ。
マネ

仕事の資料をもらうために
事務所に行ったとき。

事務所の正面玄関に見慣れた姿を見かけた。

「あれ、しげ?珍しい。」

自分が担当する重岡大毅だった。
そして彼のすぐ側には、
彼によく似た年配の女性が。
一目で彼の母親だと分かった。

それより、一体どうしたんだろう?
しげは事務所から呼び出しがない限り
自分から事務所へは来ない。
そんな彼が自主的に、
しかも何の連絡もなしに。

彼の表情からして
良い話でないことはすぐ分かった。

大毅「なぁ、まさニィ。俺、、、
俺、どうしたらいい?」

「え?どうしたらって、、、
とりあえず一回落ち着こう。」

今にも零れそうなほど目にいっぱい涙を
溜めているしげとお母さんを
事務所の中へと通した。

たまたま空いていた部屋に入り話を聞く。

大毅「さっき、、、病院行ってきてんな。」
「前紹介された病院?」

彼がここ数ヶ月
腰を痛めていることは知っていた。
整体で電気を使った治療を受けていたけど
中々治らなかったことも、
整形外科を紹介されたことも、
紹介された整形外科から
大きな病院での検査をするよう
言われたことも。

大毅「検査、受けてやんか。結果出てさ。
俺、、、

肺癌やった。」

「、、、は?
肺癌?え?」

なんで腰の痛みから肺癌って話になるわけ?

大毅「これ。診断書」

しげから渡された診断書には
「肺を発生源とする癌の転移による腰痛」
と書かれていた。

「、、、嘘、、、じゃ、ないんだな?」

俺の問いかけに、しげは黙って頷いた。

なんで、彼なんだろう。
身体が弱いことを自覚していて、
だからこそ人一倍健康には
気を使っていたのに。

どうして彼なんだろう。

それしか考えられなかった。