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第1話

春の魔法 < 司 >
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2022/04/05 12:12
それは 思いがけない出会いだった 。
あなた「  今日も桜綺麗だなぁ…  」
今 , わたしの目の前には , 麗らかな日差しを受けて満開に咲く桜の木 。
まるで生き物の集大成みたいで , すごく力強くて , 美しい 。
…これは , 写真に収めなくては 。
そう思いながらスマホを取り出した時 。
??「  どいてくれぇええええ!!!!  」
あなた「  え  」
物凄く大きな声が聞こえた方に目を向けた時には , 私の目線は傾いていた 。
そのまま , 大きな音と共に倒れ込む 。
鈍い痛みを覚悟した 。
…が , いつまで経ってもその痛みは来ず 。
恐る恐る目を開けると , そこには見覚えのあるあの顔 。
クラスメイトの天馬だった 。
司「  す , すまん!! 大丈夫か…!?!  」
そういう天馬の顔は真っ青で , でも辛うじて頭だけは守ってくれたんだと気づく 。
あなた「  …いや , わたしも周り見ないで立ち止まってたし , ごめん  」
そう謝ると , 天馬はうるさいくらいの声量で ,
司「  いや!! 佐倉は断じて悪くない!!!!本当にすまんかった … !!!  」
と言った 。
あなた「  うるさ … じゃなくて , わたしは大丈夫だから  」
司「  そう言われても , 女子の顔に傷など付けてしまっては , 男として最低だからな … , 怪我してないか ??  」
そう言って , わたしの頬を撫でる彼 。
その姿が , 妙に魅力的で 。
不覚にも , わたしの心はとくんと鳴った 。
あなた「  だ , だだだ大丈夫だから !! とりあえず離れよ!?  」
司「 あ , ああ , すまない … !!  」
そう言って , 彼はあたふたしながら私から離れる 。
司「  …とりあえず , 何かできる範囲でさせてくれないか … ?? でないとオレの気が済まん…  」
しょぼんと項垂れる天馬に , わたしは頷くしか無かった 。
あなた「  う , 分かった , 分かったから …  」
司「  !!ありがとう!!  」
そう言って , 彼は私の手を取り上下にぶんぶんと振る 。
ああだめだ 。
どうやらわたしは , 春の麗らかな魔法にかかってしまったらしい 。
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  りくえすとくれ  
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  女の子でも👌🏻  

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