あの日以来
私は毎日風磨の傷の手当をした
相変わらず風磨は痛い痛いと私に怒ったけど
最後の方はわざと痛いと言って私を困らせた
風磨「いてぇ」
「嘘つき」
風磨「嘘じゃねーよ!まじで痛い」
「ここ?」
風磨「おい!ばかっ!」
今回は本当だった
「ごめんね?」
風磨「俺のためだろ?怒ってねぇよ」
ポンポンと2回
私の頭を優しく撫でた
その時の風磨の顔は
びっくりするほど優しかった
「っ・・・ちょっと、あの、へ、部屋に戻る!」
風磨「ちょ、おい!」
なんか変だ
胸がドキドキって
「樹っ!樹!」
理科室に駆け込むと
そこに居たのは樹ではなく
北斗だった
北斗「樹じゃなくて悪かったな」
眼鏡をかけて本を読む目線をこちらに向けて
北斗が優しく笑った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!