マイキー「こんばんは……」
弱々しく呟くように発せられた声は12年前よりもずっとか細く感じた。
小さな足音をたてながら私の目の前まで来ると
マイキー「…久しぶり、遅かったね」
そういった。
遅かったね……?
少し違和感のある言い回しをする彼。
それに、マイキーはやせ細ってクマも酷くなっていた。
『久しぶりだね、マイキー』
私がそういうと、小さな子供のように小さくなって
マイキー「…会いたかった」
なんていうから、捨て猫のようで可愛いと思ってしまった。
マイキーは蹲ると、ぽつりぽつりと話し始めた。
マイキー「ねぇあなた、あなたはね これから梵天の敷地内で生きていくんだ」
…………ん?なんて?
マイキー「それでね…俺を癒すんだよ。俺が眠れるように、、俺のために……」
マイキー「…もちろん、そのぶん衣食住もしっかり与えるしお金も沢山あげる」
マイキー「だから………」
次の瞬間、私は彼に頬を両手で塞がれた。
マイキー「俺から離れないでね。」
まるで可愛らしい少年の目なんて、目の前の彼にはなかった。
ただ 寂しい、孤独感 それが渦巻いたような目で私を見つめていた。
初めて感じた 恐怖心 。
今までピンク頭やツッコミどころの多い人達で緩和されていた空気が一気に引き締まった。
その時初めて、あぁ私は今から 反社側 の人間になるんだなって嫌でも実感した。
next.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。