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第14話

14.ふたり
「ありがとう。
でも、無理せず、ゆっくりでいいからね」


「無理なんかしてないよ
私も敬語を使うのは少し堅苦しいかなって悩んでたんだ」


「そうなんだ。
本当に、よかった
嫌われたらどうしようって、内心怖かった」


「そんなことで嫌いになったりなんかしないよ」



「ありがとう」










トントントントン

階段の近くでそんな会話をしていると、誰かがこの階に上がってくる音がした








僕たちは、反射的に空き教室に身を潜めた

2人、ドアの下でかがんだ

別に見つかったら怒られるわけじゃないけど、先生であっても生徒であっても、僕たちの間に一切の関わりをもたせたくなかった

誰も入ってきてはほしくなかった









足音が遠ざかっていくのを確認して、隣を見ると、心臓が止まりそうになった



それもそのはず、彼女と僕との顔の距離は10センチ程度しかなかったのだ

かがんだまま、少し距離をとってから、立ち上がった










数十メートル離れた場所にある図書室からは、微かに笑い声や黄色い声が聞こえてくる

そんな声が彼女にも聞こえてか、少し申し訳なさそうな表情を浮かべながらもこう言った

「やっぱり、人がいなくて静かな場所って落ち着くよね」

「うん。そうだね」

騒がしい場所を落ち着くなんて言う人はいないとは思うけど、それを好むか好まないか、はっきりと分かれる

僕達は、それを好まない人間

だから、そういう事実を含んだ"落ち着く"だ










「2人でいるからっていうのも、あるのかも、しれないけど」

ポツリと呟いた彼女の言葉の意味をすぐには理解することが出来なかった

きっと、意味の分からないというよう顔をしていたのだろう
もう一度、丁寧に教えてくれた



「2人でいるから落ち着くっていうのも、あるんじゃ、ないかな……」

自分の発言に自信がなくなったのか、恥ずかしくなったのか、彼女の声がだんだんと小さくなっていくのが分かった

「そうだね」

僕が、今、彼女に対して抱いている気持ち
それをすべて伝えようという思いで発した一言だった










結局、僕たちは、その日図書室に戻ることなく、学校をあとにした










家に帰り、自分の部屋にこもると、真っ先に思い出したのは、彼女のことであり、たった3日間の日々を振り返った

思えば、出会って3日目の彼女に、僕はたくさん、心を動かされてしまったみたいだ

好きになったとか恋に落ちたとか、そういうのではなく、喜びとか驚きとか楽しいとか
いう感覚を思い出させてくれたように強く思う










僕は、この日を境に学校に行くことに対しての気持ちが激的に変化した

「楽しみ、かもな」



____________________



次の日もその次の日も彼女とは、今日あった出来事、好きなもののこと、嫌いなもののことなどくだらない話をしながら図書室で放課後を過ごした

僕の願い通り、図書室で彼女と交流することが、生活の一部として取り入れられてきているし、日常としても成り立ってきている










そして、今日も楽しく感じた日々と明日への喜びを胸に眠りについた

















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ñon🌙
ñon🌙
こんにちは🌙未熟者ですがよろしくお願いします ・第20回プリコン作品 「冷えた心に温もりを」引き続き連載中 ・お題チャレンジ中の作品 「私、タピオカに興味ないので」連載中 ・第21回プリコン参加中 「次、生まれ変わるときは たった1人の存在に」 主にプリコンとお題チャレンジに沿った作品制作をすると思われます 更新速度は、あまりいいとは言えませんが、読んで頂けると嬉しいです(*>_<*)ノ
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