無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第7話

7.心の奥底
いつもより軽い足取りで階段を下っていく

相変わらず気分を沈ませるような光景が僕の家には広がっているけれど
今はそんなことに気を取られている間もなく、頭の中は昨日のことで大半を占めている

もちろん、学校なんてクソくらいだ

大嫌いだ……










でも、今日はいつもより15分も早く、家を出た



もともと、少しでもあの空間にいることを逃れたかったから学校には登校時間ギリギリについているのが普通だった

だから、周りの人からすれば、早くもなんともない












案の定、この時間帯の下駄箱は混雑していた

こういうのも嫌だから遅く来ている

それなのに、登校ぐらい自分の自由でいいはずなのに
先生は、"もう少し時間に余裕をもって来なさい"とか言い出すのだ

そして、いつも僕は心の中で、間に合ってるんだから別にいいだろと先生に対しての静かな反抗をして、イライラした状態のまま教室へ向かう





思い出したらまた気分が悪くなってきたみたいだ
だいたい、僕は今日、何に胸を踊らせて学校に早く来たというのか


最初から、僕の学校生活に楽しいことなんて待ち受けているはずないのに










そんなことを思いながら、上履きに履き替えていると、どこからか視線を感じた




何気なく振り返った先に、君がいた










目が合うと、彼女は少し動揺していたものの僕の方に近づいてくる



「ごめんなさい。ジロジロ見てしまって
話しかけようか、迷っていたんです」

そう言って、彼女は苦笑いを浮かべた


「全然、大丈夫だよ。
話しかけてくれて、ありがとう」

「昨日は楽しかったです。ありがとうございました」

礼儀正しく頭を下げた彼女を見て、いい人だな、とつくづく思う

だいたい昨日は僕みたいな人間が図書室に来たから、彼女の1人きりの時間を奪ってしまった

しかも特に何も言葉を交わすことのない気ま
ずい空間が漂っていたはずだ

その上で、楽しかったなんて、社交辞令だとしても言うことができるのはすごいと思う

でも、彼女の目が本当にそう思ってくれているようだったから、彼女の本心として受け取っておくことにした




そんな考えを巡らせながら、彼女をじっと見ると、まだ外履きを持ったままであることに気づいた


「いや、こちらこそ、とても、楽しかったです
あと、上履き、履き替えて来て、いいです、よ?」

このままでは申し訳なく思い、自分なりにさりげなく教えてあげた


すると、彼女はそのことに、今、気づいたような顔をして

「い、急いで履き替えてきます!
ちょっと待ってください」

「うん」


なんて、穏やかに頷いたけど、ちょっと待ってくださいって、どういうことだろう

とりあえず、素直に待つことにした


「お待たせしました」

「は、早かったね」

「ならよかったです」

彼女が行きましょと呟いたのでそのまま
一緒に教室に向かうことになった

誰かと一緒に教室に向かうのは入学して以来、初めてかもしれない






またしても沈黙が続く

でも、それさえも楽しく感じてしまう
いや、もっと細かく言い換えれば、楽しいという単純なものではない気がするけれど










1年生の階に着いた

「じゃあここで」

と彼女は手を振り、2組の教室に入っていった


「2組か、遠いな」

小さく呟いて、僕は7組の教室に向かった










キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン


次の授業は移動教室

黙々と1人で歩く中、3組の教室を通りかかった辺りで無意識に2組の教室に目をやった

「え……」



一瞬、目を疑った










窓側の後ろの席で、机に肘をつき、手の上に顎を乗せながら、冷めた目で時計を見つめる女の子がいた










君だった










あんな目やあんな姿は
穏やかな空気に包まれた彼女からは想像のできないものだった


2組の教室も笑い声や叫び声が飛び交っていて
そこにただ1人、口を固く結んで遠くを見つめる人間がいる










僕みたいだ、そう思った










彼女は何を思ってここにいるのか

何を思いながら生活しているのか

心の奥 心の奥底では
どんな気持ちや感情を抱いているのか










僕はもっと、知りたいと思った


君のことを

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

ñon🌙
ñon🌙
こんにちは🌙未熟者ですがよろしくお願いします ・第20回プリコン作品 「冷えた心に温もりを」引き続き連載中 ・お題チャレンジ中の作品 「私、タピオカに興味ないので」連載中 ・第21回プリコン参加中 「次、生まれ変わるときは たった1人の存在に」 主にプリコンとお題チャレンジに沿った作品制作をすると思われます 更新速度は、あまりいいとは言えませんが、読んで頂けると嬉しいです(*>_<*)ノ
恋愛の作品もっと見る
公式作品もっと見る