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第9話

9.おはなし
「えっ?わ、わたし?
あっ私に決まってますよね」

急に話しかけたせいなのか、僕から話しかけられると思っていなかったせいなのか、よく分からないが、彼女はとにかく慌てた様子だった

驚かせてしまって悪かったという意味を込めて謝る

「ご、ごめんね
急に話しかけたり、なんかして」

「えっいや、大丈夫ですよ!
まさか、話しかけてもらえるなんて思っていなかったのでびっくりしただけです
むしろ今、とても、嬉しいです」

そう言って、表情をコロコロと変える彼女が、また新鮮で、彼女について知りたいと思う気持ちがさっきよりも強くなった





「あっそれより、私が好きな本でしたよね?」

「うん。もし、あるのなら、教えて欲しいな、なんて」

「全然いいですよ
うーん、そうだな、やっぱりあれかな
ついてきてください」

彼女に言われた通りついていくとある本棚の前で立ち止まり、厚めの本を差し出された

「これ、悩んだけど、私が今まで読んだ中で1番好きな本です」

そう言って、渡された本の表紙を見ると、藍色の空にポツンと浮かんだ半月を切なそうに眺めているセーラ服の少女が描かれていた

「すごく、綺麗」

「ですよね。
是非時間があったら読んでみてください」

「うん。ありがとう」

彼女が教えてくれた本は本当に綺麗で、だから、自然と素直に言葉として出すことができた

まず、この本を通して彼女を知ろう

本が好きなわけではない
だけど、この本だけは早く読みたい、そう思えた









 
「神崎くんは、今まで、どんな本を読んできましたか?」


「あ、僕……
ごめん、僕は今まで本に対して、興味なんて、なかったから、あまり、知らないんだ」


「そうだったんですね」


「ごめんね」


「全然、謝ることではないですよ
今は、少し興味をもってくれたってことですか?」


「うん。だいぶ、興味が出てきた気がする
白川さんは、その、いつぐらいから、本に興味をもったの?」


「私は、中学に入ってから本と関わることが増えたと思います」


「そうなんだ。僕は中学のとき、図書室には数えられるくらいの回数しか行ってなかったかな」


「そうなんですね。もしかして、他に熱中していたことがあったんですか?」


「ないよ、つまらない人間だよね
部活には一応、入っていたけど、部活仲間から冷めてるってよく言われてたんだ」


「でも、そんなことないと思いますよ
話していて、つまらなくもないし、冷めている感じもしないです」


「ありがとう。でも、普段の僕を見ていたら引くかもしれないよ
今は、楽しいから、少し明るく見えているんだと思う」


「そんなこと言ったら私もです
私も、結構、冷たい人間ですよ」

ふと、今日の移動教室の時間に見た光景が蘇った
でも、探ろうとは思わなかった


「そんなことないと思うけどな
多分、誰にだって冷めた部分はあると思うよ?」


「そっか、そうですよね……!
そういえば、部活は何をやっていたんですか?」


「サッカーだよ
親がそこに入れってうるさかったから
僕は何でもよかったから別に抵抗しなかったけどさ」


「サッカー、すごいです
尊敬します」


「尊敬されるほどの能力はなかったよ
周りには上手いやついっぱいいるから
白川さんは、何部だったの?」


「あ、私は……吹奏楽部に入っていたんですけど、途中で、やめました」

その時の彼女の表情を僕は見ていることができなかった

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ñon🌙
ñon🌙
こんにちは🌙未熟者ですがよろしくお願いします ・第20回プリコン作品 「冷えた心に温もりを」引き続き連載中 ・お題チャレンジ中の作品 「私、タピオカに興味ないので」連載中 ・第21回プリコン参加中 「次、生まれ変わるときは たった1人の存在に」 主にプリコンとお題チャレンジに沿った作品制作をすると思われます 更新速度は、あまりいいとは言えませんが、読んで頂けると嬉しいです(*>_<*)ノ
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