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第8話

8.探究心
あの姿を目にしてから、その後の授業や昼休み、掃除の時間もあっという間に過ぎていて、気づけば帰りのホームルームが始まろうとしていた

担任から明日の連絡事項を聞き、いつも通り挨拶を終えたあと、クラスは椅子や机の音をガタガタと立てながら各々の娯楽へ向かおうとしている

どうせ、今日もカラオケだのゲームセンターだのに行くのだろう










一昨日までの僕なら早歩きで校門を潜り抜け、そこら中に建っている誘惑になんて目もくれず、真っ直ぐ家に帰っていた

かと言って、家が好きな場所、居心地のいい場所と言われれば、話は別になる



でも、今日、僕には向かうべき場所がある

自分が行きたいと思える場所がある

だから、図書室という名の僕にとっての娯楽である場に足を運んだ










ガラガラ

分かっていたけど、これだけの在校生がいて、ここまで人がいない図書室はどうなのだろうか
寂しすぎる気がする



でも、人の来ない図書室に僕は感謝する


僕がここに来る理由を見出してくれた人物をぐるっと見渡して探す


すると、広い図書室内の奥の方から誰かが笑顔でこちらに向かって来た

幼い少女のような笑顔で小走りする君がいた






どこから湧き上がってきたか分からない嬉しさが自分でも分かる程、顔に出ていたと思う

「今日も来てくれたんですね」

本当に嬉しそうにする彼女を見て、つい言ってしまった

「うん。昨日、楽しかったから
それに、知りたいから……」

声に出してから気づいた
ほぼ無意識のうちに発していた

そう思っていたのは事実であるとしても、相手に直接、"知りたい"なんてことを告げるのはどうかしてる
しかも、僕のような人間に言われても気持ち悪がられるだけだろう
怖くなって1歩後ずさった


「本に関して知りたいことあったら、遠慮なく私に聞いてください!」

「え?」


どうやら、彼女は僕が本のことを知りたがっているのだと解釈したようだった

よかった。心の底からホッとした
知りたいという言葉の前に固有名詞や代名詞をつけてなんかいたら、さすがに、今のようには、捉えてもらえなかっただろう



ペコリと頭を下げて、図書室の奥に戻っていく彼女と一緒に僕も本探しの旅に出ることにした










30分ぐらい経っただろうかと時計を見ると長針は既に一周していて1時間も経過していたことが分かった

ここにいると、時間の流れが早く感じるなーなんて呑気なことを考えながら、今日、自分の中でした小さな決意が脳裏に浮かんだ


彼女に話しかける





彼女のことを知りたいなら、自分から行動を起こすしかない

だから、まず、話題は何でもいいということにして、話しかけるという難易度の低いものに決めた
そのくらいなら、僕にだってできる


ゆっくりと彼女の方へ足を運ぶ
小心者の僕は、彼女からも言ってくれてたように、1番無難だと思うことを聞くことにした










「あの、白川さんの、好きな本は、なんですか?」

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ñon🌙
ñon🌙
こんにちは🌙未熟者ですがよろしくお願いします ・第20回プリコン作品 「冷えた心に温もりを」引き続き連載中 ・お題チャレンジ中の作品 「私、タピオカに興味ないので」連載中 ・第21回プリコン参加中 「次、生まれ変わるときは たった1人の存在に」 主にプリコンとお題チャレンジに沿った作品制作をすると思われます 更新速度は、あまりいいとは言えませんが、読んで頂けると嬉しいです(*>_<*)ノ
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