第10話

人見知りと相合傘と片割れと
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2022/06/23 06:21
今日は私が面談の日で、母と先生と三人で話し込んだ後に母は仕事に戻っていった。


殆どの生徒はそのまま保護者と帰宅する流れだろうが、私は残念ながら自分の足で大地を踏みしめて歩かねばならない。


you
you
しかも超絶雨
優
気をつけて帰るんやで
you
you
うんばいびー
優は早々とは帰って行った。

さて、私も駄々を捏ねていないで帰るとしよう…と、傘を差して、パラパラと雨が降る外に出ようとしたその時だった。

宮治
宮治
俺ら目的地一緒やんな
一緒帰ろ
you
you
びっっっくりした、
後ろから現れたのはまたしてもイケメン。昼休みぶりの宮治先輩であった。


急に現れた顔面偏差値100に心臓がドッドッと鳴り止まない。勘弁して。てゆかほんとに顔近い。勘弁して。

you
you
先輩も同じ時間だったんですか
宮治
宮治
んや、めっちゃ話し込まれてん
you
you
あとの人がかわいそうです
宮治
宮治
悪かったと思っとる
そしてやはり、この人のお母さんは大変そうだとどうでもいいことをぼんやり考える。


再度ビニール傘を広げて歩き出そうとしてふと気づいた。この人、傘もってない。

私の見上げた視線に気がついた彼はにっこり笑った。うわっ、顔が天才。
宮治
宮治
傘忘れたから入れて♡
you
you
、、、、じゃああげるので
宮治
宮治
は!?自分がずぶ濡れになってまで相合傘したくないん???!
you
you
いやそうじゃなくて
誰かに見られたら射殺ものなんですって
you
you
あの、先輩
宮治
宮治
あなたちゃんもっと寄ってや、濡れてまうやろ
you
you
先輩、私はいいです
宮治
宮治
何言うてんの??
つ、伝わらない……!!!と顔を覆う。


人通りが少なくて誰にも見られていない(多分)なことが不幸中の幸いだけれど、この状況は非常にまずい。

近い。近い。肩当たってる。腰に手を添えられてる。いい匂いする。顔がいい。顔が、腰に手が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



状況を説明すると、我々は絶賛相合傘中である。

しかしガタイが良い先輩と入るには傘は少しばかり小さくて。少しでも距離を置こうとする私を、濡らさせないと言わんばかりに抑えているのである。


これセクハラだって訴えられないの?イケメンだからいいの?いや、私は全然いいんだけど、それより近い近い近い
宮治
宮治
ほら、暴れんとって
you
you
〜〜〜〜〜〜!ぐぅ!
イケメンフェイスのわりにゴリラみてえな握力で抑えられる。

恨めしげに睨むと先輩は傘を持ち替えて首を傾げた。は?あざと。
宮治
宮治
なんか言いたげやな、言うてみ
you
you
こんの、、、たらし!!!
宮治
宮治
俺はそんなやろ
you
you
俺「は」??誰と比べてるんです?
宮治
宮治
パツキンの方
you
you
ああ、
なるほど、たしかに

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