あれからお兄ちゃんの帰宅により私は戦線を離れ、課題に取り組んでいた。
宮先輩と急激に距離が縮まって困惑している。けど、すごく嬉しい。
第一印象と全然違うタイプだったし。あの人は良いイケメンだ。
今日も今日とて両親のいない食卓。
兄はそう言いながら赤いペンで二重丸を書いた。
私は、味噌汁の出来を毎日三段階で評価してもらっている。二日ぶりの二重丸はお値段の張った赤味噌のおかげだろうか。
ともあれ、先輩と仲良くなれた上に味噌汁も高評価。私の心は晴れ渡っている状態だ。
人生最高、気分万歳
たいへんよくできました。
サラサラとペンを走らせる兄は照れくさそうに笑った。
言葉を濁らせたということは、良い人だけどクセのある人なんだろうか。
治先輩がクセのない人では決してないからまあそうなんだろうけど。
お世辞なのかなんなのか。どういう意味での可愛いなのか。
それでも、私のいないところでそんなこと言うのはずるい。
全く、そういうとこだぞ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。