日本人の皆さんごきげんよう、ところで、台風というものをご存知だろうか。
ちなみに私は知ってはいるけども、最近ニュースを見なさすぎて近づいていることを把握してなかった。結果がこれだ。
部屋着で(いつもだが)やる気のなさそうな顔して玄関までタオルを持ってきてくれた兄に「喧しいわ」と噛み付く、隣のイケメンは制服を肌に貼り付けている。
そう、私の傘ちゃんは風に吹かれ勢い良く壊れ、私たちは無防備なまま走るほかなかったのだった。
ちなみに治先輩もゲリラや~!とかなんとか言っていたので知らなかったぽい。私たちは似たもの同士なのかもしれない。
私にふわふわのタオルを渡しながら兄は言った。
伊達に生まれてからずっと付き添ってない。私のことをよくわかっている。
ちゅどーーーーーん!!!
こてん、と首を傾げながら彼が落としたのはそれはそれは大きな爆弾だった。いや、胸にミサイルを撃たれたという表現の方が合ってるかもしれない。
ぽたり、と前髪の水滴と一緒にタオルに赤い何かが落ちた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!