第12話

チベスナと妹と片割れの夜 ①
1,362
2022/07/15 04:30
髪を拭きながらリビングへ戻ると、兄の感情のない声が聞こえた。
角名倫太郎
角名倫太郎
治これ帰れないんじゃない?
宮治
宮治
やばいな、ツムにLINEせな
角名倫太郎
角名倫太郎
泊まってく?どうせ俺らしかいないし
宮治
宮治
あれ、角名んちご両親共働きやっけ?
雨はやむどころか一分一秒経つにつれて激しくなってゆき、風が窓を叩きつける音が随分と大きい。警報出てる気がする。




(いや、まじでこのレベルの台風が近づいてることを二人揃って知らなかったのなんなんだろう。)
you
you
先輩、ごぶれいしました
宮治
宮治
ああ、美羽ちゃん出たんや ……っ!?
you
you
ど、どうかしましたか?
日本一綺麗な二度見。

私の姿を捉えた先輩はもう一度、つま先からつむじまで鑑定するように眺めた。


その目がやたら真剣で思わず後退る
角名倫太郎
角名倫太郎
……治、人の妹値踏みするみたいに見ないでくんない?
you
you
あ、値踏みされてたんだ
宮治
宮治
可愛いねお嬢さん、いくら?
角名倫太郎
角名倫太郎
お前が一生かけて働いても払えないくらい高額な子だよ。とっとと入ってこい
俺と混浴が嫌なら早くしろ、とお兄ちゃんは先輩に着替えを投げつけた。

オブァッ!と変な声を出してそれは顔にクリーンヒット。イケメンに対して容赦ないあたり、二人はやっぱり仲がいい。
宮治
宮治
あ、美羽ちゃん風呂出たらまたゲームしよ
you
you
ご飯の支度終わってからなら
高揚した目付きで口元を抑えて立ち止まる先輩。

次の瞬間、お兄ちゃんに蹴られたのは言うまでもない。

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