第13話

チベスナと妹と片割れの夜②
813
2022/07/15 04:37
いや、見られてる。超見られてる。

ものっそい至近距離で見られてる。

肌が触れていたら間違いなく鼓動が伝わってしまっていたが、私と先輩との距離は僅か5センチほど空いていて、それが不幸中の幸いだった。


トントン。トン。トントントン。


斜め後ろに立った治先輩は眼球をかっぴらいて私の顔を凝視している。お風呂上がりのいい匂いがするが、手元が狂いそうなので大変やめて頂きたい。


you
you
何をしていらっしゃる?
宮治
宮治
新婚さんの気分を味わっとる
you
you
味わわなくていいです。あ、喉渇いてたら冷蔵庫の中のもの勝手に飲んでいいんですよ
宮治
宮治
あなたちゃんって照れるときは照れるけどドライなときはドライやな~アイロンみたいや
you
you
ドライヤーとは
訳分からないことを言いながら先輩は隣に立った。

身長が私よりも30センチくらい高いものだから、影が出来て少し不安な気持ちになる。この人やっぱり大きいな。お兄ちゃんとどっちが大きいんだろうか。


トントントン。トントン。
宮治
宮治
手伝おか?
you
you
綺麗な手を傷つける作業は避けてください
宮治
宮治
あなたちゃんの手も綺麗やね
you
you
ヴっ
トン。
you
you
治先輩って誰にでもこうなんですか…
宮治
宮治
…んや、わざと言ってる。クールそうなあなたちゃんの表情崩したくて
you
you
………お、おさむくん
宮治
宮治
…………あなたちゃん、ウチ来おへん?
角名倫太郎
角名倫太郎
口説くな
第3の声がして私も先輩も飛び上がった。

お兄ちゃんが教科書で先輩の頭を軽くはたいていて、それがなんだかおかしくて笑った。

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