第145話

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2021/03/30 07:25
武田「では、わざわざお越しいただいてありがとうございました。」

ママ「いえ、こちらこそ保護していただいて助かりました。ほら、ちーちゃんもありがとうって」

ちーちゃん「お姉ちゃん、おじちゃん、ありがとう!!」
メイのリードをぎゅっと持ちながら空いてる方の小さな手ででめいいっぱい手を振ってくれた。
あなた「ばいばーい!」
メイに向かって、ちーちゃんに向かって笑顔で別れを告げれば、途端に悲しさと寂しさで感情が呑まれる。
武田「…美紗乃さん、大丈夫ですか?」
私の顔を覗き込むようにし、顔色を見てくれる先生に心配させまいと笑って「大丈夫です!」と言った。
私の顔を見ると少しほっと安心したように口角を上げた先生に頭を撫でられる。
武田「少しの間でしたが、お世話係お疲れ様でした。
今日のお昼は監督や顧問で作るのでマネージャーさん達も休憩していてください。」
あぁ、やばい。
あなた「はい、。」
泣きそう。


武田「では、僕は先に戻りますが美紗乃さんは落ち着いてからでいいですよ。」


武田先生の最大限の優しさに身を縮めて、蹲って泣く。
少しの間でメイにこんなに愛情が芽生えるなんて思いもしなかったし。
あなた「あー、ちーちゃんと会った時、メイ凄く嬉しそうだったなぁ…」
地面がぼやけては濡れ、土が水を吸収していく。
あんなに幸せそうなちーちゃんとメイの顔を見れば行かないでも、最後の言葉も絶対に言えやしない。
あなた「ありがとう、って…泣いちゃうなぁッ…!」
嗚咽を漏らしながら数分間その場で留まる。
こんな顔じゃつーちゃん達を余計心配させちゃうばっかりだ。
あなた「ッふぅ。」
浅く、沢山深呼吸を重ね、ようやく涙が引く。


あなた「もう合宿は______」












残り1日だ。






残り少ない、もう何時間かも数えられるような時間を…
大切にしなくては。



あなた「最後まで濃い合宿にするぞ!」
1人で拳を作り、喝を入れて踵を返し、体育館へ向かう。
決意表明かのように、跡がつくくらいに握って出来た手のひらの爪痕は


みんなにバレないようにしよう。

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