もう何試合目かも始まった頃、外でキキッー!というブレーキ音がなった。
あなた(あー、来ちゃったかぁ。寂しいなぁ。)
選手たちの集中が途切れないように、小声で鷲匠先生に「席外します。」といい、武田先生と外へ行く。
??「ねぇ、ママ。ほんとにあなた居るの?」
ママ「いるわよ。ここで優しい方たちがお世話してくれてたんですって。」
??「そーなの?ちーちゃんのあなた元気?」
ママ「元気でちーちゃんのこと待ってるわよ!」
車から出てきたのは若い女性とまだ5歳くらいの子供。
この子達は…
ちーちゃん「!!お姉ちゃん、ちーちゃんと同じくらいの大きさのわんちゃんいる?
お名前ね、あなたっていうの!可愛いでしょ?」
頬を少し赤く染めながらそう話してくるちーちゃん。
そう、あなた…言わば私がメイと呼んでる犬の飼い主である。
あなた「はじめまして!白いふわふわの毛並みの子かな?」
ちーちゃん「うん!!!凄くふわふわでね!触ると気持ちーの!夜はね、一緒に寝てくれるんだよ!」
にこにこと嬉しそうに話す。
メイの、ホントの飼い主。
ママ「お電話したものなのですが…。」
武田「はい、では少しあちらでお話しましょう。
美紗乃さん、少し頼みましたよ。」
あなた「はい。」
武田先生にいわれ、ちーちゃんと呼ばれるこの前に屈む。
あなた「あなたちゃんはとっても元気にしてたよ!」
ちーちゃん「ほんと!?あのね、あのね…ちーちゃんとあなたがお散歩してたの!
そしたら、間違えて首輪に繋がってたお紐話しちゃってね!
それで、、気づいたらどっかいってて
ちーちゃんが悪いの!それでたくさん探したのに居なくて、お紐だけ木のところにあったの!」
大きな瞳に涙を貯めながらそう話すちーちゃんはほんとにメイのことが好きなんだなって。心底思った。
あなた「大丈夫だよぉ、ちゃんとお風呂に入れたから白いふわふわの毛だし、ちーちゃんみたいな綺麗でくりくりで、愛くるしい目をしてるから!」
ちーちゃんのおて手を握って安心させるように言えば、瞳に貯めていた涙をひっこめ、ニパッ!と笑顔になる。
ちーちゃん「お姉ちゃんみたいな人に拾われて、あなたと嬉しかったと思う!!!
ありがとう!!!!」
大きな声でお礼を言われて胸が暖かくなって鼻の奥がじーんとした。
あなた(お礼がこんなに気分良くするものなんて。)
ちーちゃん「お姉ちゃん…?」
あなた「ううん!なんでもないよ!!どういたしまして!
今度からはお紐ぎゅ!て握らなきゃね!」
ちーちゃん「!!うん!!絶対離さないの!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!