第56話

伍拾肆
2,598
2020/08/15 02:50
不死川実弥
不死川実弥
行けるか?!
あなた

はい!!

あなた

(あ……まずい………
血が足りなくなってきた………)

紅志木様!!一度治療を!!
不死川実弥
不死川実弥
っ……!
あなた!一旦引け!!
あなた

けどっ……!

甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
あなたちゃんは頑張ったわ!
治療してからまた参戦して!
伊黒小芭内
伊黒小芭内
今のお前では足を引っ張るだけだ
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
不死川!
紅志木を連れて後方に下がれ!
時透無一郎
時透無一郎
ここは僕たちに任せて!!
冨岡義勇
冨岡義勇
早く行け!!
不死川実弥
不死川実弥
わかった……!
あなた

し………は……

不死川実弥
不死川実弥
喋るなもう!
実弥目線────


血を流しすぎてる……!




頼む……まだ死ぬな…!!




ふと、かつての友との会話を思い出した
紅志木和久
紅志木和久
……なあ実弥
不死川実弥
不死川実弥
あ?んだよ
紅志木和久
紅志木和久
俺たちはさ、鬼殺隊じゃん?
不死川実弥
不死川実弥
あぁ
紅志木和久
紅志木和久
てことはさ、今夜死んでも文句は言えないわけじゃん?
不死川実弥
不死川実弥
あぁ
紅志木和久
紅志木和久
死ぬってことは……
この世から消えることじゃん
不死川実弥
不死川実弥
さっきからお前は何が言いてェ?
紅志木和久
紅志木和久
前話したけどさ、俺妹がいるだろ?
不死川実弥
不死川実弥
なんか言ってたなァ……
紅志木和久
紅志木和久
あいつ、料理とか家事はすっげぇ上手いんだけど………頼るのがめっちゃ下手なんだよ
紅志木和久
紅志木和久
だからさ、俺が死んだら生きてけんのかなって…………倒れても誰にも頼らず、誰にも気付かれずに死ぬって結末がありありと浮かぶんだよ
不死川実弥
不死川実弥
で、結局何が……
紅志木和久
紅志木和久
俺が死んだら、あなたのこと頼むわ
不死川実弥
不死川実弥
は……?
紅志木和久
紅志木和久
実弥なら信頼できるしな
だからさ、たまにでいいから様子見に行ってやってくれね?
不死川実弥
不死川実弥
別に構わねェが……お前はそんなすぐ死ぬような奴じゃねェだろ
紅志木和久
紅志木和久
まあな!
そんなすぐ死んでたまるか!
不死川実弥
不死川実弥
はっ!言うじゃねェか
紅志木和久
紅志木和久
ま、たぶんあなたも鬼殺隊に入ると思う
俺が死んだ後でな
不死川実弥
不死川実弥
んでだよ?
紅志木和久
紅志木和久
うーん……兄の感?
紅志木和久
紅志木和久
お前も兄貴なら、少しは弟見てやれよ?大切なものって、皮肉なことに失う時に気づくもんだからな
不死川実弥
不死川実弥
俺に弟はいねェ
紅志木和久
紅志木和久
はいはい
何度も聞きましたよー
不死川実弥
不死川実弥
分かってんなら……!
紅志木和久
紅志木和久
分かってるって!
弟ずっと気にかけてることもな!
不死川実弥
不死川実弥
はァ?!
この会話からちょうど1ヶ月後




和久は、上弦の壱に殺された




俺は言われた通り、和久の家を訪ねた




だが、中はもぬけの殻だった




それから数年後の夜




笛の音を聴いた




妹の笛の話はよく聞いていたから、すぐに分かった




あの夜は、今までで一番幻想的に思えた




俺は……親友の遺言を守れないのか…?
あなた

師範……

不死川実弥
不死川実弥
あなたっ……!
あなた

私は……戦えます………!

不死川実弥
不死川実弥
駄目だ!
その出血量で戦えばどうなるか……!
あなた

それでも……!

不死川実弥
不死川実弥
いいか?
お前はここで大人しく治療受けてろ
あなた

師範……!!

紅志木様……!
お気持ちは重々……ですが今は………
あなた

(私は……私の力では無理だ…………
槍もさっきの斬撃で折れたし、笛も切られた……………)

あなた

(もう…………
……いや、まだ残ってる…………
この短刀で……まだ戦えるかも……!)

あなた

治療はあとどのくらいで終わる?

えっと……あと10分ほどで…………
あなた

……夜明けまであとどのくらい?

あと……30分ですが…………
あいつのいる場所は建物が影になって……日光が当たりません………
あなた

そんなっ……!

あなた

(あいつを誘き出す………?
いや、そんな簡単には無理…………
どうすればいい………?!)

プリ小説オーディオドラマ