第11話

衝撃の提案
810
2019/08/03 16:03
郁人
なんだお前ら
すぐそばから郁人の声がした。
クラスメイトの女子
立川くんおはよう!えっと
郁人
そこ俺の席。座れねぇんだけど
最後まで聞こうとせずに郁人は言った。
クラスメイトの女子
あっ、ごめん!
クラスメイトの女子
はい、どーぞ
郁人
悪ぃ二人だけで話したいことがあるからどっか行ってくれるか。全員
突き放すような冷たい声音。

女子グループはまもなく、僕たちの元から離れていったようだった。
郁人
……はぁ、めんどくせ
ドカッと椅子に座る音と吐き出されたため息につい肩を震わせてしまうと、「あ、お前じゃねぇからな。さっきの女子どもだよ」と言われた。
郁人
で、どうした?何があった?
凛雨
……顔、
口にするのは、改めて実感することだった。

僕は泣きそうなのを必死に堪えて言った。
凛雨
顔、見られた……
郁人
……は?
凛雨
どうしよう……
言葉が足りていないことは分かっていたけれど、きちんと説明できるほど僕の精神は強くなかった。

どうしよう、いじめられる、女みたいって言われる____嫌な想像ばかりが頭の中をまわって、他のことなんて何も考えられない。

どうしよう、どうしよう__
郁人
……なら、いっそもうフード脱いじまえば?
凛雨
…………え?
驚きのあまり、負の感情が全て吹き飛んで僕はただ郁人を見つめた。

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