第14話

この登校から
809
2019/08/07 01:30
翌朝、僕はいつもの時間に家を出た。

玄関で見送ってくれた母さんには驚かれていた。

なんか、すごい変な感じだ。風が首元を通っていってスースーする。

慣れない感覚と、嫌な想像が頭に浮かんでは消える。

気を抜くと俯きそうな顔を、僕はしっかり前に向けて歩いていった。

公園が見えてきて、仁菜との距離がだんだん近付く。
仁菜
凛雨!おは……
前方から聞こえた朗らかな声は、途中で止まった。

僕は彼女の前で立ち止まり、正面からの視線に少し気後れしながらも微笑んだ。
凛雨
……おはよう
仁菜
……ど、どうしたの……!?
仁菜の過剰な驚きようも無理はない。

僕が、高校に入ってから被り続けてきたフードを__被っていないから。
凛雨
ちょっとね……色々あって
仁菜から視線を外して呟くと、ガッと腕を掴まれた。
仁菜
何かあったの!?誰かに何か言われた!?誰なの、教えて!!
凛雨
ち、違うよ!何も言われてないし大丈夫だから落ち着いて……!
詰め寄ってきた仁菜との顔の近さにドキドキしつつも、必死に彼女を宥める。

そう来るとは思わなかった。でもそうか、仁菜からしたら僕が自分からフードを脱いだとは普通考えられないよね。

僕も、昨日のことがなかったら考えなかったかもしれない。
凛雨
そろそろフードに頼っちゃダメだと思ってさ。……人からの視線を、自然にちゃんと受け止められるようにならないと
__君に告白も、できないだろうから。

と思っていることは、絶対に秘密。
仁菜
……そうなんだ
仁菜はニコッと元気づけるように笑った。
仁菜
応援してるよ!
凛雨
……ありがとう
また一つ、仁菜への想いが深まったのを感じた。

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