第20話

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2019/08/31 05:03
女子
ほんとにさ、斗枡凛雨くんやばくない!?
トイレから出ようとした仁菜は、すれ違った女子から聞こえてきた声に思わず足を止める。

同じクラスではなく、特に知り合いというわけでもない女子二人組。
女子
わかる!すっごい綺麗な顔してるし、ほんと優しいよね
仁菜の心臓が動揺にドキリと跳ねた。

何気ない風を装って手洗い場の鏡の前に戻り、髪を直すふりをしつつ聞き耳を立てる。
女子
そーそー!なんか、中性的?で、まじ優しい。もっと早く知りたかった!
女子
うん……
女子
ん?
女子
いや、……私、斗枡くんのこと……好きかもしれない
ドクン__と、さっきより大きく心臓が跳ねた。

髪を梳いていた手も止まって、いっそう会話に耳を澄ませる。
女子
えっ!?まじ!?
女子
うん。だから、その……頑張ってみよっかな、みたいな
女子
!!  応援するよー!!一緒に話しかけに行こ!!
女子
ありがとう……頑張る!
仁菜は手を下ろし、早足でトイレから出た。

教室への廊下を歩きながら体の横で拳を握り込む。
仁菜
…………
視線を下に向ける仁菜は、複雑そうな顔をしていた。

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