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第3話

おまじない
恋が盲目なことくらいマンガで予習済みで、そうはなりたくないな、と未経験ながらに考えていた。




まさか自分がそうなるなんて、思ってもみなかった。「好き」っていう感情に囚われて、「好きな人」のことが分からなくなってしまうなんて。


「付き合ったこと自体、間違いだったのかな·····」


しゅうちゃんに貰ったテディベアに話しかける。仁奈が元気になるようにおまじないがしてあるよ。なんて、屈託のない笑顔で言ってた。おまじないに加えて、ベアのプレゼント部分にはパワーストーンが埋め込んであるらしい。


正直、あそこまで嫌われているとは思わないかった。荒ぶった口調になる時はあるけど、友達に対してでさえ、「失せろ」なんて言わない。


それを私に言った意味。


「はぁ·····。どうして。私はどうすればいいの。もしゅうちゃんとよりを戻したら、学校行けないよ。そんなの·····辛すぎる、見ていられない。」



膝を抱えて、手で顔を覆う。瞼を自ら抑えなければ、涙が止まらない気がした。


せめて、友達に戻れたら。


肩を並べて歩いた日々が懐かしい。3人で帰り道に大笑いして、アイス食べて、写真を撮ったっけ。
胸を尖ったもので鷲掴みされたようにじくじくと痛んで止まない。
しゅうちゃんは優しいけど、あまり頼らないようにしたい。やっぱり、真紘を敵に回して欲しくないから。


そんな想いは表だけで、中身はこんなにぼろぼろなのにね。それでも真紘を責める気にならないのは、少なくとも真紘にそうさせてしまった責任があると思った。
強がりが精一杯の武器。色んなことが分からなくなってしまった私が唯一見失わないもの。





~♪~♪   



タイミングを見計らったように、遠慮がちに流れる音楽。
着信音に設定した流行りのラブソングが今では恨めしい。ため息を飲み込み、緑のボタンをタップする。無心でスマホを耳に近づけた。
『もしもし、仁奈?』