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第9話

文化祭当日
とある遠い国のお話です
人魚姫と呼ばれる美しい娘がいました
透き通る声、水中をなびくブロンドの髪
優しさと賢さを兼ね備えた誰もが憧れるお姫様
「やっと人間の住む世界を見れるのね」
15歳になったばかりの彼女が水面から顔を出すと自分と同じ髪の色をした青年を見つけました
彼が浜辺で夕日を見ている様子を人魚姫は岩陰から眺めていました
毎日浜辺を訪れる彼を見ている時
激しく胸が高鳴る
それは恋なのだと昔お姉様に教わりました
「私が人間だったら彼に話しかけられるのに」
自分のヒレを見下ろし、ふぅっとため息をつきます
いつもと変わらない日のはずでした
人魚姫が隠れている岩の近くで、いきなり1匹の魚がちゃぽんと跳ねました
その拍子に王子様と人魚姫の視線が合ってしまったのです
人魚姫の体は硬直しました
(人間じゃないことがバレてしまったら·····!)
もうここには来れないでしょう
それどころか一生海の世界に閉じ込められてしまう
「素敵なヒレですね。鱗が光に当たると透明にも見える。」
人魚姫に驚きもせず、そう話しかけました
「あなたは私が怖くないのですか」
人魚姫が恐る恐る問います
「全然。この辺りの海底には美しい人魚達が住んでいると代々語り継がれているのですよ。」
「それに僕は、君が毎日ここにいることに気づいていました。僕も君に会うためにここに来ていたんです。」
下半身が魚であるというのに、美しいだなんて
この恋は禁忌でした
住む世界が違うから、そんな理由だけではありません
しかし、生まれて初めてのときめきは加速する一方です



きっともう、後戻りは出来なくなる



これ以上は危険だと頭ではわかっていました
それでも彼女、いや、彼女たちは
「ルーナ、君はとても綺麗だ。」
「王子様·····、あなたこそお美しい。」
この禁じられた愛に戸惑いなどありませんでした


若さが故の衝動でしょうか



そして王子様はいつも愛でるように人魚姫の髪を梳くのです
「ずっと君のそばにいたい」
「私もです」
それが叶わないと知りながら、いえ、叶わないからこそ日が暮れるまで2人は寄り添いあっていました



この時間が永遠に続けばいいと、幸せに浸る2人は本当に美しかった



沈む夕日に照らされながら、ついばむようなキスを交わすのです




_______________それを誰かに見られているとも知らず