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第4話

孤独な夜に
『仁奈、1人で抱え込むなよ。』


「しゅうちゃん·····。」


泣きたいのは私なのに、それよりも苦しそうに話す。喉の奥から搾り取られ、声が掠れていた。


『泣いてるんだろ?本当は辛いんだろ!?』


「大丈夫、そんなことない。」


『仁奈』


「ちょっとセンチメンタルになっただけ。日が暮れた時ってもの寂しくなるよね·····!」


『仁奈』


「あっ、充電ないから落ちそう。」


『仁奈、聞けって!』

機械を通して聞こえるくぐもった声は、いつもよりだいぶ熱がこもっていて、私は押し黙るしか出来なかった。
それでも電話を切らないのは、耳からスマホを離せないのは、どこかでしゅうちゃんに甘えようとしている自分がいる。その事に気づいていたから。
薄いカーテンの隙間から零れる街灯の明かりが、ゆらりとぼやけた。
「全然、大丈夫、なんかじゃないよ。」
私はずるい人間だ。
しゅうちゃんの好意に甘えていて、真紘との現実にはいつまでも目を背けて。いつまでもぐずぐずしているだけの子供。
ひとりじゃ受け止めきれなくなって、もう半分を誰かに持っていて欲しいと思ってしまう。
『俺、わかるから。仁奈がいつ泣いているとか。我慢なんかしなくていい、不安だったらいつでも話聞くし、会いに行くから。そりゃあ·····直ぐに忘れられないと思うよ?でもそうやってひとつひとつ乗り越えなきゃ。今仁奈が超えなくちゃいけない壁は真紘から遠ざかること。』
「遠ざかる·····?」
『今までと同じテリトリーに居られるわけがないんだ。仮にそこへ滑り込んでも、悲しいだけ。』
「じゃあどうすればいいの?同じクラスだし、通学路も電車も一緒だよ?」
『真紘のトーク歴、全部消す。そんでブロックする。SNSのフォローも外す。』
淡々と出てくる提案は、どれも容易な事じゃなかった。そこまで関係を断ち切るなんて、怖い。
「··········。」
『仁奈だって見たでしょ?元カノのみゆが真紘に話しかけてたとこ。ああいうのがこれからずっと続く。そんなの耐えられる?』
「··········無理。」
しゅうちゃんとの電話が終わったあと、きゅっと目をつむりながら、震える指を動かし、連絡手段を断ち切った。
これでよかった、そんなふうに思えるのに、胸をきゅっと掴まれるような痛みが交錯する。



泣いたあとの気だるさに引きずり込まれるように、私は眠った。