最近の人はみんなぶつかったら
" 怪我はない? " って
心配してくれるのかな …
結構優しい世の中なんだな …
うん , うん , と小さく相槌を打ちながら
話を聞いてくれるスングァン .
手元は動きっぱなしで
スングァンの器用さが垣間見える .
まるで少年漫画のような流れに
怪訝な顔をしてスングァンは尋ねる .
でも残念ながら
話していることは全て事実なのだ .
ジャーと流れ続ける水が止まる .
そろそろスングァンお皿拭きだすのかな .
興奮した状態で喋る私に
一生呆れた顔のスングァン .
なんで信じてくれないの!
たしかに摩訶不思議な事だけどさ .
平和な街に銃声なんて
響いた試し生きてた中でないし .
多分何言っても信じてくれないだろう彼は
私の仕事の遅さを指摘した .
促されるまま泡をすすぎ落とし
私もスングァンと同じくお皿拭きへ .
きっとUSB見せたら信じるよね , 流石に
黒いUSBを片手に
私にそう喋るスングァンは
まだ怪訝な顔をしていて
信じてくれていなさそうだった .
団体客だったのに
そんなに忙しいことも無く
なんなら早上がりさせて貰うことが
出来た私たちは ,
早々に支度を済ませ外に出た .
済州島かぁ …
ここは街中なのによく島から来てるよ …
島からって大変だな …
お手手をフリフリして
スングァンは踵を返していく .
済州島スングァン … 次も頑張ってね …
私はそんな心で
お家の扉を開いた .
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。