チュンチュンチュン…チュンチュン
トコトコ(((((*´・ω・)
あなたへ
昨日はごめんね、
お母さん、帰ってきたの朝方なの……
だから朝はゆっくり休ませてもらうわ、、、
朝ごはん、冷蔵庫にあるから、
それ食べて学校行ってらっしゃい
お母さんより
ころんくんになんて話しかけよう。
用意してくれた朝ごはんを食べそんなことを思っていたら家を出る時間になった。
全然登校時間ギリギリとかじゃなくてめっちゃ余裕もって30分前には家出てるんだけどね( -∀-)
そう言って重い足取りで学校へ向かった。
ガララララララ…
静かに教室へはいると、いつもはこの時間には来ているはずのころんくんが今日はまだ来ていなかった。
私は彼の登校を待ちながら、自分の席について静かに本を読みはじめた。
キーンコーンカーンコーン
ガラガラガラガラッッッッ
っ……
昨日のことは何も無かったかのようにケロッとしてる。。。。
コツッコツッと音を立て自分の席へ向かっているころんくん。
その表情は…
私が隣の席だからかな……
昨日のあの話から様子変だもんね。
私のせいなんだ……。
キーンコーンカーンコーン
1限目終了のチャイムがなる。
私の足は何故か、屋上へ向かっていた。
気づけばもう屋上の扉の前にいる。
本当は来たかったのかもしれない。
"ひとりになれるところ"に。
いや、違う。
私は誰かを求めていたんだ。
誰かに話を聞いて欲しかったのかもしれない。
屋上にあの人がいることを期待して、私は無意識に屋上へ進んでいたんだ…。
何故か自然に涙が溢れてきた。
私は外に出ることも無く、その場にしゃがみこんだ。
キーンコーンカーンコーン
2限目が始まっちゃうけど……
もういいや……。
少し落ち着いたし…
屋上で休んでいよう…。
ガチャッ
フワァ……
扉を開けると、まだ春の匂いが残っている暖かな風が吹き込んできた。
空は青く染まっていて
とても綺麗だった。
タッ……タッ……タッ……タッ……
私はゆっくりと歩き、屋上のフェンスにもたれかかって座った。
誰かをすぐに傷つけてしまう。
自分をとても責めてしまう。
なにひとつ守ることが出来ない。
大切な友達をも信用ができていない。
そんな私が……っ
私は驚いて上を見上げた。
そこにはまるで私が待っていたような…求めていたような安心感のある笑顔があった。
何故だろう。
彼の顔を見た瞬間なにかの感情が襲ってきて、
さっき止まったはずの涙がまた溢れ出して来た。
私は言葉を発することが出来なかった。
でも何かを察してくれたのか。
さとみくんはそんな私の背中を隣に来て優しく優しくさすってくれた。
さとみくんが掛けてくれた言葉や行動はとても暖かくて、とても優しかった。。。。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。