あなたside
「だからちゃうって言うてるやろ!!!!」
『~っ、そんなん知らんもん!!』
「もう、、頭冷やしてくる。」
些細なことで喧嘩した。やらかした。
大ちゃんが疲れてるの分かってたのにわがまま、、。
だって構ってもらいたかったんだもん。
彼女の特権なはずだもん。
大ちゃんは別に良かったん、、?
モヤモヤと黒い感情だけが残る。
せっかく大ちゃんがいる休日の夜なのに、、
『また一人ぼっちじゃん、、』
こういうことで悩むのが嫌いな私は
自分のほっぺを強めに叩いてキッチンへ立った。
年上の大ちゃんに勧められてやっと飲めるようになったコーヒー。
っていっても大ちゃんが入れてくれるコーヒーに
こっそり砂糖がたっぷり入ってるのを実は知ってる。
ちょっと高い棚に入れてあって私の背では届かない。
『そっか、いつも大ちゃんが入れてくれるから、』
頑張って背伸びして取ろうとしてみる。
指の先がちょん、と当たるくらいで取れる気配はない。
『あ!取れそ、、わっ、!!!!』
ジャンプでとったら
がたん!と落ちたコーヒーの缶から粉末のコーヒーが飛び散る。
『うわぁ、、さいっあく、』
いろいろ思い通りにならなくて思わず
大ちゃんに「たすけて」ってLINEする。
一人で片付けてるとバタバタってすごい音がしてドアが開いた。
『、!?』
すっかり大ちゃんへのLINEを忘れてコーヒーの片付けにおわれてた、。
「もう!でんわで、て!!」
めちゃめちゃ息を切らしてそう言う大ちゃん。
「急に助けて、ってくるからなにかと思うやろ!」
「しかも何回もかけたのにでんわでぇへんし!」
「なんなん、!ほんまにもう、!!」
『ご、ごめん、。』
はぁーとため息をつく大ちゃんの手にはコンビニの袋。
多分中には…アイスが入ってる、よね。
「で?なにがあったん?」
呆れたような優しい笑顔で笑う大ちゃん。
そんな顔して笑わないでよ。
緊張の糸切れちゃったよ、ばか。
散々大ちゃんの胸で泣きじゃくったあと
事情を話したら
「ほんまあほ、」
ってデコピンされた。
片付けてコーヒー飲んだのはまた別の話。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!