第28話
stone05. ジェシーの場合
「ジェスー、ジェスくんやーい。」
『何で朝からそんなテンション高いの?』
「んっふふ。」
『えぇ?もう〜何?』
今日は2人で雑誌の撮影。ありがたいことに表紙と巻頭特集を組んでもらってる。
だから朝から上機嫌なあなたちゃん。
朝ごはんを食べながらたまに俺の名前を呼んでみては笑ってる。
…上機嫌というより、酔っ払いみたいな。
「楽しみですねえ?」
『楽しみだねー。』
昼から馴染みのスタジオでの撮影だから、それまで2人で過ごして。
久しぶりに2人でのんびりとした午前を過ごしてから、スタジオに行き。
お互いメイクやら何やらがあるから一回ばいばいして。
支度が終わって、雑誌用にばっちりメイクして貰ったあなたちゃんを見た素直な感想。
…可愛すぎない?大丈夫?
いや、かわいいんだけど美人!
美人だけどかわいい!え?似合ってる!
見惚れるってこういう事を言うのかー。
じっと見てたらあなたちゃんから話しかけてきた。
「わあ、ジェスのオールバック久しぶりに見た!」
『かっこいいデショ。』
「かっこいい〜。似合うね、やっぱり。」
お互いを褒め合っていたら、撮影スタート。
今回のテーマはクール&セクシー。
“撮影はじめますねー!ジェシーさんのソロカットからいいですか?”
『お願いしまーす。』
「あ、わたし見てていいですかっ?」
“いいですよ〜、ここ座ってください!”
「ありがとうございます〜!」
スタッフさんの横に嬉しそうに座って、こっちを見てくる目がキラキラして眩しい。
そのあとずーーーっと、カメラマンさんの指示に従って撮影をすすめる俺の方を向いているあなたちゃん。
いや、いいのよ?いいんだけどさ。
なんか。なんかさあ。
『……めっちゃ見てくるじゃん!!』
「えぇ、だめ?」
『さすがに照れる!』
“もう少しで終わるから!”
「ほらー。」
楽しそうに、なんかこそこそスタッフさんと話してるし。もうー、なに?
“はいオッケー!次あなたさんね。”
「はーい、お願いしまーす。」
『…俺も仕返そっ!』
俺と入れ替わりカメラの前に立つあなたちゃん。
さっきまであなたちゃんが座ってた椅子に座って、今度は俺が撮影を見学。
同じように見てるつもりなのに、本業がモデルさんなだけあって俺なんか気にもしないでさくさく進む撮影。
クールだったりセクシーだったり。
あ、今のかわいい。あとで写真貰えないか聞いてみよっと。
「…ジェス、見過ぎ〜。」
いや、その照れた笑顔も反則だって。
『ん〜?いいでしょ。』
“次、お二人のお写真撮らせてください〜。”
「はやくージェスー。」
あなたちゃんに急かされながら、横に並ぶ。
“自由でいいので、2人でクールに決めてみて。”
『クールにだって。そんな笑顔で、あなたちゃんできるの?』
ゆるみきった頬をつつけば、また笑うあなたちゃん。
「できますー。」
『…これ、もっと寄ってもいい?』
“いいですよ〜。”
はい、あっち向いて。肩を掴んで誘導して、背中合わせに立つ。
“いいね〜、目線はこっちにちょうだい!”
されるままに背中を預けてくれるあなたちゃん。ヒール履いてるのにまだ俺の方が高い。
“横顔いいねー。”
「ジェスの横顔かっこいいですよね!わかる〜」
“あなたさんもいい感じですよ〜!”
「本当ですかー?」
『でしょ!横顔美人なの〜!』
*
“はい、ありがとうございました〜”
「ありがとうございましたぁ」
“インタビューあるから、休憩して待っててね。”