第6話

5話 本当の自分
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2018/07/26 10:30
少し疲れてたけどもう1回眠る気にもなれないからそのまま起きていることにした。
部屋に戻り、パーカーの下を着替え遺書の内容を考えながらベットに横になっていた。

かれこれ1時間が経過しお腹が空いたので朝ごはんを作りに1階の台所に向かう...

...その時だった。


ドンドンドン!!


急にドアを叩く音...お客さんなんてこの家には滅多に来ないのに、、新聞記者かなんかかなと思った矢先、また彼らは姿を現した。

じんたん&みや
じんたん&みや
やっほ〜!
テオくん
テオくん
じんたんにみや...
じんたん
じんたん
反応が薄いなぁ(笑)
みや
みや
あれ?お母さんは?
テオくん
テオくん
まだ寝てる。
それより、なんで俺の家を...
じんたん
じんたん
そんなの名簿を見れば1発!
最近は住所を入力するだけでその場所の行き方が分かるんだもんなぁ
便利な世の中!
テオくん
テオくん
それで、なんでここに?
じんたん
じんたん
そうだった!
あのさ、今日3人でお出かけしない?
テオくん
テオくん
うーんと、俺ら2時間くらい前にも一緒に
「お出かけ」しなかった?
みや
みや
いいじゃん。別に減るもんじゃないし
テオくん
テオくん
俺が自由に過ごせる時間は減るけどね?
じんたん
じんたん
本当は行きたいくせに!
素直じゃないなぁ!
テオくん
テオくん
...。

(もはや反論するのもめんどくさい)
テオくん
テオくん
どこに行くの?
じんたん
じんたん
結果ばっかり求めるもんじゃないよ?
無計画な旅ほど面白いってよく言うじゃん!
テオくん
テオくん
確かにじんたんの無計画さには本当に頭が上がらないわ
じんたん
じんたん
えへへ〜( ̄∇ ̄*)ゞ
そうかなぁ〜
テオくん
テオくん
...じんたんは幸せ者だね
話を聞く所によると最近リニューアルされた商店街に行くらしい。
そういう事に全く興味が無かった俺はリニューアルの事なんて全く知らなかった
テオくん
テオくん
悪いけど俺一銭もお金持ってないよ?
みや
みや
「銭」?この国では「円」しかお金はつかえないんだよ?(笑)
テオくん
テオくん
...1円もお金持ってないって事!
みや
みや
まあお金のことは心配しないで!
じんたんと俺がなんでも奢るからさ!
テオくん
テオくん
それはだめだよ!
それに欲しいものなんて俺無いし、、、
じんたん
じんたん
え...?お昼とか夜ご飯はどうするの?
テオくん
テオくん
いつまでいる気なの、、、
じんたん
じんたん
まあまあ、俺、゛お金を余らせて゛も仕方ないからさ...お小遣いは使い切っちゃおうと思って!
だけど2人だと退屈だからテオくんと行きたいなって!
俺の「唯一の友達」とね!
テオくん
テオくん
(じんたんにも友達が居ないのか)
そうして俺らは歩き始めた
テオくん
テオくん
ところで、その荷物には一体何が入ってるの?
じんたん
じんたん
ああ...これ?
えへへ〜それはヒミツだよ!まあ、俺の
゛夢と希望゛
とでも言っておこうかな!

それより、テオくんから話しかけてくるの何気にこれが初めてだよね!
テオくん
テオくん
確かに。この俺がじんたんに話しかけるなんて迷惑極まりない行動だったね
じんたん
じんたん
うーん
なんか俺とテオくんの間にとてつもない距離を感じる...
いつかゼロ距離のテオくんと話してみたいな!
テオくん
テオくん
そんなことがあったら暑苦しくて俺が蒸発する
みや
みや
恥ずかしくての間違いでしょ?
テオくん
テオくん
それも一理ある
俺は生きている事が恥ずかしいからね
やっぱ早いとこ首を吊った方がいい
じんたん
じんたん
お?勝利宣言だね?
だったら俺もロープ買って帰らなきゃ行けないね!
そんなくだならい話をしながらしばらく歩いているうちにじんたんの顔に゛疲れ゛が見え始めた
テオくん
テオくん
その荷物、俺が持つよ。ずっと持ってんのも疲れるでしょ?
じんたん
じんたん
え?いいの?ちょうど変わってほしいと思ってたんだよね〜!
テオくんって意外と親切なんだね!
テオくん
テオくん
いかにも重そうな顔してたから、、
みや
みや
ねえ、改めて思ったけど、テオくんて本当は優しくて明るい人なんじゃないかな
テオくん
テオくん
!...
みや
みや
悪い意味で捉えないで欲しいんだけど、、
テオくんは少し自分に否定的になり過ぎてるんじゃないかな、、?
まるで拗ねちゃってるみたいにさ、、
テオくん
テオくん
!...
(自分が、、拗ねてる!?)
みや
みや
もしかして、本当はその性格自分で作っちゃってるんじゃない?
本当のテオくんはもっと明るい人だと思う
テオくん
テオくん
確かに、元いた自分を嫌ってたていうのは多少あるかもしれない。
ただ、この卑しい人格は紛れもなく他が作りあげたもの...
もう本当の俺なんてどこにも存在しない...。
今の俺はいわば俺の虚像みたいな存在...。
じんたん
じんたん
それは違うよ。
テオくん
テオくん
...?
じんたん
じんたん
完全に自己を消し去ることなんて人間は絶対出来ないんだ。
後から作りあげられた「仮面」はいつでも脱ぐことが出来る...
正義のヒーローに憧れて、もっと輝かしい目を持ってたテオくんは、いつでも呼び出せる事が出来るんだよ。
...俺はそう信じてる。
テオくん
テオくん
...
みや
みや
...おっと
なんか暗い話題になっちゃったね!
ほら!もうすぐ見えてくるよ!
じんたん
じんたん
さあ、どのお店から見ていこうかな!
とても楽しそうに周りを見渡すじんたんの姿が、自分が子供の頃に初めて遊園地に行って
笑顔ではしゃいでる時の記憶と重なった。
その時もどうせお母さんにとっては騒音の元凶となる駄々をこねる自分を黙らせるための策に過ぎなかったんだろうけど...
それでも俺は本当に楽しかったんだろう。
テオくん
テオくん
...。
俺の中で表現出来ない「何か」が疼いているのを感じた。

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