第40話

ミーアの目的
13
2020/03/02 07:25
侍従
国王陛下…何かお考え事で?
国王
ミーアはなぜすんなりとリリアン王国に行ったと思う?
侍従
?それは…カナリア王国を守るためでは?
国王
本当にそれだけだったのか…。
半年前――
侍従
王様、このままではカナリア王国は…もう…。
国王
やはり、リリアン王国に頼るしかないのか…。
侍従
先のことはともかく、カナリア王国が無くなっては人々が路頭に迷うことになるのは確か。
せっかくの先方のお申し出なのです。どうかご英断を。
国王
だが、昔から向こうの王子はミーアに惹かれているようであったが、姫は全く見向きもせんのだぞ。見事なまでの鉄壁。親としては関心するくらいだ。
侍従
王様!そのようなことを言っている余裕はもう残ってはいないのですよ!!
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
どういうことですの?!
国王
姫!
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
お父様、このままではカナリア王国がなくなるとは一体どういうことなのです!
侍従
ひっ姫様!これは…
侍従の言葉を制止し、国王は語り出す。
国王
良いか、ミーア落ち着いて聞くんだ。
我カナリア王国は先の貧困民救済支援の政策で財源が底を付こうとしているのだ。
このままでは、貧困の民を救うどころか全国民を路頭に迷わせてしまうことになる。
そしていずれ、カナリア王国は無くなるだろう。だが、隣国であるリリアン王国の国王が
当面の資金援助を申し出てくれておるのだ。だがそれには、条件…
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
なんですの?!その条件とは…!!
国王
ミーア姫がセシル王子の元へ嫁ぐことだ。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
そんな!
国王
わかっておる。昔からセシル王子のアプローチをことごとく断っていた姫がそんな…
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
嫁ぎます!
国王
そうだな、私も政略結婚のような真似はさせたくな…い今なんと?
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
セシル王子の元へ嫁いでカナリア王国を守ることができるのなら私は喜んでリリアン王国へ行きます。私が必ずカナリア王国を守ってみせます。
国王
…待つんだ。その気持ちはとても嬉しい。
だが、父として娘には幸せになって欲しいんだ。
政治事に巻き込みたくはないのだ。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
お父様が心配なさっているのは後継者ですよね?
国王
その通りだ。もし姫がリリアン王国に嫁ぎ、私が在位を退位したら…
カナリア王国は耐えてしまうだろう。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
でも、このままだったらすぐにでもカナリア王国は無くなってしまう。
国王
…うむ。
                                               ____
国王
確かに、我が国の存在危機がきっかけとなったのは確かだろう。
だが、まさか美咲の家族をそこで見つけ出してくるとは。…しかも、よりによって双子だったとは…。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
ご無沙汰しております。皆様集まりで。
ではこちらでバスをご用意させていただきましたのでどうぞ。
川平 美亜
川平 美亜
わ~♪すっごいこれって私たちの貸切?!
佐々野 美咲
佐々野 美咲
ヤバ~!きゃはは。
吉田 海人
吉田 海人
まるで遠足気分だな。
城之崎 美波
城之崎 美波
そういえばパパ、私はカナリア王国で生まれたんでしょ?
社長
あぁそうだ。まさか、な…あの時以来カナリア王国には複雑な思いしかなかったが、こうした巡りあわせで、お城にお招きされるような日が来るとは!
美波の母
あの頃の頑張りが報われたのよ。美咲には、悪いことをしてしまったけれど、あんなに立派になって…。
美亜ママ
パパ、私リリアン王国を出るのははじめてよ。緊張するわ。
川平 美亜
川平 美亜
ママったら一週間も前からエステ通ってバッチリメイクして準備万端じゃん!
美亜パパ
綺麗だよ♡ママ(●^o^●)
それにしてもビックリだな。美亜がカナリア王国のお姫様と知り合いだなんて!一体どこで出会ったんだ?
川平 美亜
川平 美亜
えっ?えっ…とーね、まぁいろいろあってぇ…。
美亜ママ
そんなのなんだっていいじゃな~い!立派だわ。

3ヵ月前――


ピンポーン
たま
はい?どちら様…姫様!
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
たま、久しぶりです。元気にしてた?
たま
…おひとりですか?このようなところへ一体どうされました?
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
たまに聞きたい事があって来たのです。
中に入ってもいいかしら?
たま
はい。狭いところですが、どうぞ。
私に聞きたいこととはなんでしょうか。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
美咲にはどうして家族がいないの?
たまと美咲は血が繋がっていないのよね?
なぜ、たまは美咲を育てようと思ったのです?
たま
急にどうされたのです?そのようなこと…。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
いいから教えて!
私には、時間がないの…。
なんだかただ事でない姫様のご様子を見て、私の知っていることは全て打ち明けました。
たま
美咲は城門の前で捨てられていたのを私が見つけたのです。
…私には子供がいませんでしたから、美咲を見捨てる事ができませんでした。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
私には産みの母がいるのに、美咲の産みの母はどこにいるのか…。
たま
なぜそのようなことを?
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
美咲は幼い頃から私の傍にいつもいてくれました。
私は未だにお父様とお母様の傍で共に暮らせているけれど
美咲は、育ての母であるたまとずっと暮らしてきたのよね。
たま
はぁ、まぁ…ですが私が城住まいを隠居してからは美咲とはほとんど会っていませんし
あの子は姫様のことを本当の家族の様に思っているようですから。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
えっ?
たま
あっこれは大それたことを言ってしまいました。申し訳ありません!
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
…そうか、例え血が繋がっておらずとも家族にはなれるのね。
たま
はっ?
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
あっそうだわ。本題を忘れるところだった。
私ね、倉庫でこんなものを見つけたの。
たま
これは…。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
ここに写ってるのは美咲なのね?
たま
ええ。美咲を見つけた時、側に置かれていたのがこの写真でした。
この写真の裏に美咲と書かれていたので、美咲という名前なのだと思いました。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
美咲しか映ってないけどこの、美咲を抱いてるのって…。
たま
はい。私なりに、美咲のご両親を探すべく、この胸元に刺繍されている工場をまず探したのですが、もうその工場には誰も…。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
いなかったの?!
たま
会社は倒産したようで、捜索を諦めざるを得なかったのです。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
そんな…前に働いていた人とかは?
たま
家族経営で起業したばかりだったようで、その後の手掛かりは何も…。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
手がかりはこの写真だけ…
せめて、この美咲を抱いてる人の顔が分かっていれば…。
たま
それともうひとつ気になることがあるのですが、この写真には続きがあると思うのです。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
どういうこと?
たま
ふつうの写真のサイズと違うのです。
乱雑に切り取られたであろう跡も見られますし。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
ここにない部分にヒントがある…。
それを美咲の家族が持ってるってこと。
たま
おそらく。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
ありがとう。たま、私も調べてみるわ!
たま
それからは何も音沙汰がなく、
そうこうしていたら、リリアン王国に嫁がれるとのお話、おめでとうございます。
国王
たま、なぜ美咲を育てた?

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