第44話

国王の思惑
22
2020/03/31 23:00
たまさんが話した事実を姫に伝えることは、とてもできない…。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
私はもう、昔の私じゃない。
この国を守るためならなんだってするし、なんだって受け入れる覚悟はできてるの。
…私にも知る権利があるはずよ。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
!!…わかりました。たまさんから聞いたことを全てお話しします。
川平 美亜
川平 美亜
あれ、どっちだっけ…
やば、ほんとに迷子になっちゃった…。
侍女
どうなさいました?
声のする方を振り向く。
川平 美亜
川平 美亜
あっあの…
侍女
姫様!
川平 美亜
川平 美亜
えっ…やっ私は…
侍女
このようなところにいらしたのですね、王様がお呼びです。参りましょう。
川平 美亜
川平 美亜
えっ?やっあの…
どうやら事情を何も知らない人のようだ。

なんか、ミーア姫と最初に出会った時もこんなだったなぁ。



―――――――――――――――――――――――――
さミーア姫、城へ戻りましょう。
川平 美亜
川平 美亜
やっ私はミーア姫じゃないですから!!
執事
何をおっしゃいますか?
どう見てもミーア姫ではございませんか。
川平 美亜
川平 美亜
いやだから人違いなんですって!!
本物のミーア姫は今学校にいて!!
―――――――――――――――――――――――――


懐かしいなぁ~あの時はごっつい男の人だったけど…
そっか、あれから始まったんだよな。



思い出に浸っている美亜にこの先待ち受ける残酷な運命とは…。
美亜ママ
あなた、このまま美亜に本当のことを言わなくていいのかしら。
美亜パパ
美亜と…ほんとは血が繋がっていないってことか?
…さっきも言ったろ?俺たちはほんとの家族に変わりはないんだ。
美亜ママ
じゃあなんでさっきあんなどうしようもないような嘘ついたの?
私でもわかるわよ。あんなこと言っちゃ美亜ちゃんがかわいそう。
美亜パパ
あれは、つい美亜があまりにもたまさんのこと
気にしてるようだったから、場を和ませるつもりで…ごめん。
美亜の知らないところで、次々と真実が暴かれようとしていた――。




 
                                 あれは、雷が鳴り響く嵐の真夜中でした。
たま
陛下、お妃様にお子が生まれました!
国王
男か?
たま
いえ、可愛らしい女の子でございます。
国王
そうか、母子ともに無事なら良い。
たま
ですが…その…。
国王
なんだ!早く言いなさい!
たま
ふっ…双子なのです。
国王
双子?
たま
どちらも可愛い女の子でございます。
国王
…後に生まれた子は今すぐ処分しなさい。
たま
そんなこと…!
国王
知っているだろう!昔から双子は不吉とされている。
よいか妃にはわからぬよう、今すぐ処分してくるのだ!
たま
…はい。
                                                                                ――――――――――――――――       
侍女
陛下、ミーア姫をお連れしました。
川平 美亜
川平 美亜
あっあの…
国王
ご苦労。君は下がってくれ。
侍従
はい。
川平 美亜
川平 美亜
あの、私…
国王
美亜さん、だね?すまないね、何も知らない侍女がミーアと間違えたようだ。
川平 美亜
川平 美亜
あっいえ、さすがですねお父様はやっぱりすぐわかるんですね!
あれ…でもだとしたらなんで私のお父さんとお母さんは気付かなかったんだろう…。
国王
ミーアは昔から責任感が強い子だった。ミーアの母で、私の妻はミーアを産んでから体を壊してね、一人娘として一国の姫として一心にプレッシャーを背負って今まで生きてきたんだ。
川平 美亜
川平 美亜
はい…。
国王
もし、君が姫の立場だったら…どうだったかな?
川平 美亜
川平 美亜
えっ?
国王
もし、君がミーアとして生まれていたら…ミーアは普通の生活を送っていたのだろうかと思ってな。
川平 美亜
川平 美亜
…?
国王
ミーアの心を解放したいと思っているんだ。そのためには君に協力してもらう必要がある。
?!ミーア姫のお父さんは一体私に何を…?!
たま
国王様のご命令を受け私はお妃様から取り上げた二番目のお子を抱き裏庭へ向かいました。
でも、私には幼気な赤ん坊を殺める事はできなかった…。
たま
そしてこっそりとその赤ん坊を知り合いに託し、遠くへ里親に出すようお願いしたのです。
せめてもの思いでミーア姫そっくりに”みあ”と名付けたのです。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
じゃあ…!
たま
美亜さんは間違いなくミーア姫の妹君です。
まさかこのような形で、再会を果たすなんて…。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
…!!
たま
その後、半年程経った頃です。あなたに出会ったのは。
あなたを見たとき、あの時の妹君と重なって見えて…
あの時私が戻ると、最初から二人目のお子はいなかったことになっていた。
国王様も私がお子を処分したと思っていて、勝手にあのような判断をして良かったのかずっと悩んでいたのです。
たま
だから、あなたを見たとき私があの子の分まであなたを育てなければならないと思ったの。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
たまさん、ずっと苦しかったでしょうに…ありがとう話してくれて。
命を繋ぎとめたたまさん・・・・の選択は決して間違ってないです!
たまが語る真実を涙しながら聞いていた美咲は優しくたま・・を抱きしめた。
たま
どうやら陛下はこの真実に気付かれたようで、姫にこの事実が知られることを恐れているようでした。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
だから陛下は、パーティーの場であのような言動に…。
…ですが、知られることを恐れているのになぜたまさんに真実を聞き出そうとしたのでしょう?
たま
さぁ…それは王様のお心の内を聞いてみないと、私にはなんとも。
佐々野 美咲
佐々野 美咲
これが私がたまさんから聞いた全てです。
川平 美亜
川平 美亜
私にできることなら・・・。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
お父様、失礼いたします。
国王
ミーア!
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
お聞きしたいことがございます。
国王
ちょうど良い、私も話があったのだ。
二人一緒に聞いてもらいたい。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
…美亜…。
軽く会釈する美亜。
国王
これまで通り美亜さんにはセシル王子の婚約者ミーアとしていてもらう。
そうすれば、ミーアはこれまで通りカナリア王国に留まれるではないかと考えたのだ。
湖姫 ミーア
湖姫 ミーア
?!

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