それにしても、お父さんとお母さん元気かな?
何も言ってこないってことは、
…ミーア姫を私と思ってるんだよね…それってなんか
――複雑。
セシル王子のミーア姫への純粋な想いに胸がときめいた。
それと共になぜだろう私の頬に涙がこぼれ落ちていた。
さっきの想いはどれも本当だけど、なんだろう少しだけ胸がざわついてもいた。
セシル王子は、ミーア姫に言ってるつもりなんだろうけど…複雑だな。
そうじゃなくて、そんなところで私、ばれずにいられる訳がなーい!!
一通り、ビルを見上げてから決心したかのように歩き出す。
海人の目線の先を見てみると1枚のポスターが貼ってあり、
の文字がデカデカと宣伝されていた。
どうしてあんな立派な会社があって…。
20周年ってことは、私が生まれる5年も前からあって…。
プップーーー!
どうやら私は考えすぎて、車道に飛び出しそうになっていたようだ。
とっさに私の肩に触れ私をかばった彼は気付くと車道側に移動していた。
心臓の音が飛躍したのと同時に一瞬時が止まったような気もした。
海人に一喝され現実に戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。