そんなやり取りを2人の後ろで俯き加減に聞いている美咲。
案内してくれた従業員に軽く会釈し中へ入る美亜。
美亜に気が気じゃない美咲もすかさず入ろうとするが…
えっ美咲ちゃん一緒じゃないの?! 会社側の配慮でしょう、仕方ありません。
そんな風なやりとりを心で交わしていた。
美亜はもうドレス姿に慣れたのかしら?
美咲ちゃんがいないと不安だな…。
王子に手を握られそう言われた瞬間、胸がドキンて鳴った。
それでなくても緊張で胸が張り裂けそうなのに、心臓が持たないよ!
わずかに目をやった先に見えた控室の窓には美亜とセシル王子の姿があったのだ。
どうして美亜がここにいるの!?
!美咲…!
美亜を心配して控室を出てきた美咲を見て何も知らない海人が美波と思ったのだった。
「 ミーアと美亜 」
「 美咲と美波 」
同じ会場でそっくりな2組が揃ったことで、運命の歯車がゆっくりと回り出そうとしていた―。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!