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キモイ
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シネ
私が投げかけられてきた、
数々の暴言。
…私が、何をしたというの?
何で、私が死ななきゃならないの…?
言葉のナイフを胸に突き立てられる度、
私は自分自身が、嫌いになっていった。
“私なんかが、生きていてはいけない”
心を傷付けられ、
良心をえぐり取られ、
生きる価値を見いだせなくなった今、
私は、
学校の屋上から飛び下りた。
___.
お母さんは言葉にならない言葉を並べ、
今までの思いを私にぶつけるように
私の胸で泣きじゃくった。
母の頭を撫でながら思う。
私は、自殺できなかったんだ。
私は、助かった。
_私は、死ぬことができなかった。
私の中に、助かったことを歓喜する気持ちは
これっぽっちもない。
死ねなかった。
私は再び、
あの地獄のような
周りのみんなに軽蔑され、
言葉のナイフを突き立てられる、
あの日常に戻れてしまうんだ…
私は静かに、目を閉じて息を吐く。
あんな日常に戻りたくない。
あのまま、助からなかったら。
屋上から飛び降りて、
為す術なく死ねていたら。
どんなに楽だっただろう。
_死にたい。
泣きじゃくる母を微笑んで見ながら、
そう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。