この学校にはろくな所が無い

さっきの職員室にしても

廊下にしても………………

ここに安心を求めてはいけないみたいだ

理科室お決まりの人体模型には血がべったり

少し壁から取れかけている黒板には

「一緒に実験しよう？」とカタカナで書いてある

水槽にはひびが入っており

そこから水が漏れて

床に小さな水溜まりが出来ている

理科室のテーブルの下にある棚を探してみる

ノートでは無いが…………かわりにルーペを見つけた

ここでは薄暗くて見つけにくいし

持っておいた方が良さそうだ

あの子って…………誰だ？

急に頭が痛くなる

普通の頭痛とは違う

まるで誰かに殴られたような………

痛みのせいで力が入らず

床に膝から崩れ落ちる

「お……あなた…………ってこい！」

「テメェは……………しか…………ねぇ……から」

「…………やくww」

だれかの声が聞こえる

はっきりじゃあ無いが………

記憶…………か？

「あなたちゃん、手伝うよ」

私「うん………ありがとう」 

あの子の声だけはっきり聞こえる

……………あの子？

誰？誰なの！？

あと少しで思い出せるのに…………

頭痛のせいで集中出来ない

ようやく落ち着いて来た頃

やっとまともに話せるようになった

頭を抱えていた手を使って立ち上がる

テーブルの下は探し尽くした

無いなら………………後ろの棚か？

実験道具やしおれた植物のサンプルが入った棚を開けると

いくつか本を見つける

植物図鑑

生物図鑑

実験レポートファイルなどなど………

興味本位でファイルを開くと

No.13とNo.15の間に千切れたレポートがあった

良く見たら大学の物だ

先生が間違えて持ってきたのか？

私はレポートを棚に戻そうとすると

奥にノートがあることに気づく

ノートを取り出してから

ファイルを戻す

7月19日

今日の理科は少し面白かった。
先生が間違えて大学のファイルを持ってきたそうで、実験は変わり、簡単なものになった。
私はこっそりそのレポートを見た。
中には面白そうな実験ばかりだ。
やりたい
そう思ったが出来るわけも無く
レポートを元に戻して
友達と教室に戻った。

8月17日

夏休み
忘れ物を取りに学校に行った。
帰りはいつも通っている階段が使えなかったため
仕方なく少し遠く目の階段を使った。
理科室の前を通ったとき
あの実験を思い出した。
あれを読んでしまえば忘れられない。

9月5日

今日はあの子達を実験に誘ってみた。
これおきに仲良くなれれば良いな。
実験を始めた瞬間
あの子達は驚いたような顔をした。
実験が成功すると
声をあげる。
結果はあのレポートとは少し違ったけど
きっと成功している。
片付けはいつも通り私一人でやった。