廊下に出ると
不気味な笑い方をする化け物と遭遇した
目には光も無く
目は真っ赤であり
顔には返り血のような物がべったりついている
人の形をしているが……………人ではない
肩にバックをかけており
チラチラとハサミが見える
そいつはバックから大きなハサミを取り出し
私たちの元に走ってくる
あの不気味な笑いを繰り返し…………
サクラに体を押され
ボロボロの床に倒れこむ
化け物は空振りし
職員室の壁にハサミを刺して
引っ掛かってしまっている
私はサクラと一緒に廊下を走った
死にそうなくらい
バクバク鳴っている心臓を落ち着かせようと試みるが
やはり殺されそうになった事は忘れられない
何なんだあの化け物は……………
この世の物とは思えないくらい恐ろしい……
しばらくあいつは追いかけて来たが
だんだん足音が遠のいていった
サクラはさっきついた埃を払い
私は飛んできたサクラの埃を手で追い返す
少ない光に照らされた埃は
ヒラヒラと舞い
闇に消えていった
サツイ…………
聞くと背筋が凍る
サツイだけでも怖いのに…………
他にも恐ろしい化け物がいるなんて
もうヤダ…………逃げたい………
そう思っても出られない
そう思えば思うほど
出たい気持ちは高まってくる
私の声が長い廊下に響く
怒っている場合ではない
早くここから出たい
そう言われ
化け物の気配に気を付けながら
電気がチカチカ点滅している廊下を渡り
階段に向かった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。