第5話

第二章(2) 職員室
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2021/09/20 13:02
サクラ
ついたよ
あなた
なっ、何なの……………この職員室
傷だらけのドアを開けて中に入ると

椅子やテーブルに血がこびりついていた

窓には赤色の手形がついていた

見るからに……………大人の手だ

壁には「タスケテ」と太字で書いている
サクラ
むかしここでさつじんきがじけんをおこしたんだって
あなた
殺人鬼……………?
サクラ
うん
サクラはテーブルの埃を指で取り

血がついた椅子に平気で座る

私はそれにゾッとしながら

辺りを見回した
あなた
調べるって……………何を?
サクラ
ほんをさがして
サクラ
ここにあるばずだから
本…………………?

そんな物、職員室ならたくさんありそうだが……

どんな物なのだろう
サクラ
えーっとね
サクラ
ほんというより、のーとのほうがただしいかな
あなた
……………そう言えば心の中を読めるんだっけね
さっきの話を思い出し

私は言葉を漏らす

ノート……………………か

あるとすれば本棚か引き出しかな

でも血がこびりついた机を触るのは気が引ける
サクラ
それじゃあこれつかって
あなた
あっ、ありがと…………
サクラに清掃用の手袋を渡され

やっと引き出しを調べられるようになった

一つ、二つ、三つ…………と調べる

先生たちの写真や持ち物がまだ入っていて

それを見るたんびに

頭におかしな感覚が残る

覚えている

知っている

分からない

会ったことがない

話したことがある

ごちゃごちゃな何かが私を襲う
サクラ
だいぶきがまいってるね
サクラはいつの間にか机の上に立っており

私が調べる机を変えるたび

ジャンプで机を乗り換えている
あなた
………あなたは私の何を知っているの?
サクラ
なんでもしってるよ?
フードの奥で笑うサクラは不気味だ

私はまともに質問の答えをくれないサクラに

ため息をつく

ノートは………まだ見つからないのか?
サクラ
あっ!それだ!
あなた
ん?これ?
九つ目くらいだろうか

やっと一冊のノートを見つけた

見るからにボロボロで

白いはずの紙は

汚い黄色や茶色で染まっている

表紙もボロボロだ
サクラ
なか、よんで
あなた
えっ?まぁ良いけど………………
サクラに言われ

ゆっくりと表紙を開ける

日記のようだ

しかも途切れ途切れで

三ページしかない

文字からして……………中学生か?
6月12日

私は…………いじめられているのか?
すぐ近くで嘲笑う声が聞こえる。
ただ私は………頑張っているだけなのに
ここではそれすら許されないのか?
いや、きっと違うよね。
ただのおふざけだよね。
大丈夫、きっといつか認められる。
6月18日

ずいぶん間が空いてしまった、まぁいつもの事か。
最近は掃除をかわりにやってと言われ
仕方なく引き受けている。
きっと頼りにしてくれているのだろう。
うん、そうだよね………………きっと。
あまり気にしないのが大切だ。
7月14日

この数十日、病院に入院していた。
まだ少し体が痛む。
包帯もあと一週間はとれないとか…………。
ハサミで切られた肌は、押すと痛みを感じるが
気にしなければ良い。
明日からまた学校……………少し嫌になるが
この姿なら誰か心配してくれるかな。
あなた
…………何これ
内容はゾッとするものばかり

なぜこんな物を探させたんだ………?
サクラ
それはたいせつなものなんだ
あなた
これが?
サクラ
うん、それは''かけら''
あなた
かけら?
かけらって…………何の?

でもいちいち探させたんだから

きっと貴重な物なんだろう

そう思いながらノートをリュックにしまう
あなた
オッケー
あなた
次はどこに行けば良いの?
サクラ
とりあえずろうかにでよう
サクラは机からピョンッとおりると

来た道を戻る

私もつられて

小さな体を追いかける

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