アイクside
カンカン照りの今日
暑すぎるからか道路の近くの景色がゆらゆらと揺らいでいるように見える
ミーンミンミンと鳴く蝉が煩わしく感じるこの頃
自分は仕事の都合で外へと出ていた
『暑っついなぁ……異常気象レベルだろこれ……』
と自分の上司である人がネクタイを緩めつつそう嘆く
さっきまでお得意様の方に挨拶に行ってたためピシッとスーツを着込んでいたのだ
『てかなんでうちの会社クールビズ採用してないんだよって思わん?』
『ほんとそれな……あ、スタバあるし少しよってく?』
自分は正直そんな事を考えれる気力もなく、ずっとぼーっとしてたため気の抜けた声が出る
『最近藍久成績も出してるし、頑張ってるよな。俺からのささやかな感謝の印だよw』
そう言われるも言っている意味がわからず頭にハテナが浮かぶ
『まーあれだ、奢ってやるからさ』
上司の口からそんな言葉が出るとも思わず
と驚いてしまう
『いーっていーってw俺とお前の仲だろ?』
『あっもしかしてコーヒー系飲めない!?』
上司はコロコロと表情を変える
別に自分はコーヒーが飲めない訳では無いし、こう上司が言ってくれているのだ
好意と思って受け取ろうと思い
『おっけー!!良かった!!じゃあ入ろうぜ!!好きなのえらんでいいからよ!!』
上司はニカッと特徴的な白い歯を輝かせて笑い、スタバへと足を進める
自分の上司は彼の様な優しい人で良かった
心底そう思いつつ、上司について行くように走っていった
その時には暑さも少しばかり和らいでるような気がした
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『いやぁスタバは天国だったなぁ!!』
スタバを出ながらそんな会話をする
そしてスタバを出た途端ムワッとした熱気が体全身を包む
『あっちぃ……wもう終わりだし、会社には終えたって連絡したし……藍久はなにか会社に戻る用事とかはあるか?』
上司が汗ばんできた肌を拭いながら言う
自分は特になく
と応えると上司は微笑んで自分の頭をクシャクシャ撫でた
『よっし!!じゃーもう終わるか!!帰っていいぞ!!』
『報告はしといたよw部長もそのまま上がっていいって言ってたしさ。それにこんな暑さで会社まで戻ってられっか!!ってねw』
夏のように爽やかに笑う上司には、自分の大好きな彼の面影と似ていた
それに少しフフっと笑い
『なんだぁ藍久〜wニヤニヤしやがってぇw』
そうやってウザ絡みしてくる感じも、彼そっくりだ
そして上司と別れようとすると
呼ばれて後ろを振り返る
そこには(悔しいことに)大きくて
(悔しいことに)ガタイの良い男性……Yさんが立っていた
手にはコンビニの小さな買い物袋を持って
『どした?知り合いか?』
上司がYさんを眺める
Yさんも何かしら察したのか
そう言いYさんはペコッとお辞儀する
上司もペコッと礼して
『あ、ご丁寧にどうも、藍久の上司を担っております××商事の○○と申します』
とお互い堅苦しく挨拶をする
少し居づらい空気の中、その買い物袋を指しながら聞く
Yさんは乾いた笑いを零しながら
そう言い買い物袋を掲げる
自分も呆れて笑い
『お?随分と仲良いな。一緒に住んでたりすんのか?』
と上司がひょこっと聞いてくる
自分は上司の方に向き直り
そういうと上司は余程吃驚したのか、目を見開き
『8人!?多いなぁ!?』
と言っていた
自分はハハハ……wと笑いつつ
とお辞儀をする
上司は
『おっけー俺も帰るとするかなwこれからも頑張ろーぜ!!』
とガッツポーズをして自分とは反対の方向へと歩いていった
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Yさんと二人で帰路に着いた時
なんて駄弁りながら歩いてゆく
そういうとYさんはうわぁと声を出し
と苦笑する
まぁ自分も限界だけどね〜なんて思いつつ
なんて話しながら帰る
最初よりかは、暑さは少しだけ感じ無くなっていた
〜あとがき〜
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。