ノワールの情報収集により、リュウジら半グレ集団のアジトを特定した。
エイミはそこにいくつかの仕掛けをし、家に戻った。
ノワールは含み笑いをする。
ふん、と鼻から息を吐き、エイミは感情をごまかした。
──翌日、学校にて──
──放課後──
姫野ユリは、リュウジに指定された場所を鈴木エイミに教えた。
すると、エイミは微笑を浮かべた。
エイミは背を向け、指定された場所に向かおうとする。
たしかに気に食わない奴だが、それでも。
エイミは顔を横に向け、視線だけこちらに向けてきた。
ユリは何もいえなかった。
エイミはそのまま去って行った。
ユリは、エイミの後を追った。
──ひと気のない路地──
エイミは普通の女子高生っぽい演技をして逃げようとする。
そのとき。
背中に強烈な痛み。
全身に電気が流れるような感覚があった。
エイミはスタンガンが効いたフリをして、わざと地面に倒れ伏した。
養成所にいた頃、様々な拷問を受ける訓練をした。
その中にはスタンガンによる攻めも当然あった。
倒れたフリをしたエイミを、男が抱えようとする。
日々鍛えているため、エイミの身体は筋肉に覆われている。
ただ、諜報員として、あまりにも筋肉質だと目立ちすぎる。
鍛えるだけでなく、筋肉の上に脂肪をのせることで、普通の女性のような見た目にしているのだ。
ユリは、リュウジが指定してきた場所に向かった。
間に合わなかったようだ。
エイミが、リュウジたちに連れ去られてしまった。
父親の出世、自分の生活など、失うものはある。
だけど、エイミを見捨てることはできない。
ユリはスマホを取りだし、警察に通報しようとしたところで──
バチィ!
強烈な痛みに襲われ、まもなく意識を失った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。