★午後四時
ピッタリの時間に到着する私。
やっぱり完璧だわ〜。←
体育館を除くと、カーテンも閉められて中は真っ暗。
私の声が、広い体育館に響き渡る。
すると、私の立っていたところから真ん中のところまで、
青とピンクに光るイルミネーションライトが道を作っていた。
ゆっくりと真ん中まで歩いていく。
ちょうど真ん中に来ると、電気がついた。
目の前にはチョンが立っている。
チョンはそう言うと、私を抱き上げてクルクルと回った。
小さい私には、背の高いチョンが抱き上げて見せてくれた景色は
新鮮なものだった。
正面には、《ユナ HAPPYBIRTHDAY!!》と書かれた紙が貼ってある。
周りを見渡すと、プレゼントの箱や風船などで飾り付けされていた。
あなたとジミンが出てきた。
チョンは私を下ろすと、話し始めた。
嬉しくて泣きそうだった。
チョンが彼女って認識してくれているのも、あなたとジミンが
お祝いしてくれたのも。
泣きそうだったじゃないね。
泣いてたね。
そんな私を、チョンは優しく抱きしめてくれた。
いつもの意地悪なチョンじゃないみたいに。←
狙ったな、コイツ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。