20xx 年 12月 24 日 。
聖なる夜を迎えた 子供達は 雪の 降る空を見上げながら、 歓声を上げている。
彼等の 目線の先には きらきらと 光り輝く クリスマスツリーが 。
丁寧に 飾り付けられた ツリーは , 月に 照らされ 美しく 子供達に 優しく微笑みかける。
誰も彼もの 夢が叶う 今の時代。
凡百作業が AIに 依って 行える様になり , AI と 人間の 共同生活と なった この時代には , 能力の有無による, 「必要な子」と 「要らない子」に 子供が分けられる時代に変わっていった。
将来有望だと 思われる子供は 優遇され , 必要ない と踏まれた 子供は 意図も簡単に 捨てられる__ そんな 世界だ。
そして、世界から捨てられた 少年少女達が 集まる 孤児院が , 何処かの 山の上に 有った。
その山の麓には 良く栄えた街があり , 人々が 多く住んでいる。
その街では 明るい未来を抱えた 子供達が のびのびと暮らしている。
だが、裏を返せば その生活には 誰かの犠牲があるのだ。
そんな事は つゆ知らず、 将来の夢に向かい猛進している。
そんな世界を恨んでいる。
そんな世の中を 妬んでいる。
だが、そんな声は 届く筈も無く, 幻夢となって消える。
それでも、僕らは叫ぶ。
間違っている。
そんな世界は 間違っているんだ。
“サンタさんへ 。”
もしも、サンタさんが 僕の欲しいものを与えてくれるのなら , 皆が 平等に生きられる 世界を 与えて下さい 。
玲於 。
僕らはまた , この狭い檻の中で 音の無い聖夜 を迎える。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!